これまでの「今日のコラム」(2012年 6月分)

6月1日(金) <今日から6月・・・>
今日から6月。月日の経つのは早い・・などと年寄り臭いコメントはしないことにしよう。6月は旧暦では水無月(みなづき)。「みなづき」の由来は、「水無月」以外に、「水張月」、「水月」、「皆仕尽」など諸説あるから、これも深く追求しない。毎月2日が息子の月命日であるが、一日早く今日、妻と墓参をした。お寺の樹木が毎回めざましく変化するので墓参の度にその時々の季節を満喫することができる。今日は新緑というより初夏の緑。いつもはお寺の山門の写真を撮ることが多いので今日はあえて鐘楼と本堂前の仏像を撮影して「今日の写真」とした(下)。
表紙には陶芸作品「正五角形08」を掲載。これらを12枚使って正12面体を完成させる予定であるが、工作の方がまだ進まない。

 
2012-06-01@九品仏浄真寺(東京・世田谷区)にて

6月2日(土) <今日は朝から夕方まで・・・>
今日は朝から夕方まで”働いて(?)”先ほど帰宅した。勤め人時代の仕事を考えれば当たり前のことかも知れないが今は仕事とか労働とは違う。第1に金銭を伴うものではない。自分が尽くしたために特別に価値を創造するものでもない。それでも時間を拘束されて、勝手に休憩をできない、飲食も昼の一時に限る・・、などと久しぶりに不自由な状況を長時間続けると疲労が溜まったのは確かである。積極的に自分で行動するものでなく他人に合わせて時間を使うのは達成感もないことも改めて認識する。普段は真反対の「道楽」仕事に専心できる環境に感謝である。
このページの表紙には道楽の一つ、陶芸作品の「正五角形09」を掲載した。以前から継続して掲載している模様の異なった正五角形は約20cmの円形ほどの大きさで、12枚を合体させて正十二面体とする計画だ。


6月3日(日) <インターネットによる通販・・・>
インターネットによる通販は驚くほど便利でこれを利用しない手はない。勿論、送料が無料であるか、あるいは送料を含めても有利になるかなどケースバイケースで検討しなければならない。それにしても本をオーダーすると翌日には届く、電気製品も店舗で購入するよりも安価でしかも素早く手に入る。すっかりインターネット通販に入れ込んでいた・・・、ところが信じられないことに、今は注文してから2週間以上経ったものが届かずにイライラしている。ユザワヤの通販(あえて名前を出す)でビーズと他の小物(妻用)を注文したところが未だに届かないのである。ビーズは私が陶芸の組立用に使う部品。いま表紙に掲載している「正五角形」の角の穴にビーズを使用した接続具を通して「正12面体」を制作する段取りであるが肝心のビーズがこない。通販で注文していなければ、即日、電車で購入に出かけてもう「正12面体」は完成していたに違いない。・・通販にもいろいろあることを教えられて、再度同じところには注文しないだろう。通販に限らず、飲食店でも観光地でも、どんな所でも、リピーターが商売を左右するのに・・。
今日の表紙に陶芸作品「正五角形10」 を掲載した。 陶芸コーナー(=ここ)に掲載した10枚の「正五角形」をみると自分でも随分楽しく制作させてもらったと思う。


6月4日(月) <紫陽花の 末一色・・・>
「紫陽花の 末一色と なりにけり」(小林一茶)。紫陽花(あじさい)の季節となった。一茶が俳句で詠んだ「末一色(すえひといろ)とは、紫陽花が別名”七変化(しちへんげ)”と言われるように花の色が次々と変化するけれども、最後は一色になっていることを認めたものであろう。紫陽花の色変わりに注目した俳句というと正岡子規も多くの句を残している。「紫陽花や きのふ(昨日)の誠 けふ(今日)の嘘」、「紫陽花や けふ(今日)はをかしな 色に咲く」、「紫陽花の 何に変わるぞ 色の順」。正岡子規(1867〜1902)は満34歳で病死(結核)する前の7年間も病床にあった。これらの俳句を見ると、毎日床の中から庭の紫陽花をみて過ごしている姿が目に浮かんで痛々しい。今日の写真として下に掲載したのは親戚からいただいた紫陽花を私が制作した花器(=2011年4月制作分=ここ参照)に活けたもの。
今日の表紙には新しい陶芸作品「正五角形11」を掲載した。穴は全て「五角形」のつもり。正五角形ではない、ただの五角形は無限の形がある。
2012-06-04 紫陽花
 
6月5日(火) <今日の表紙に陶芸作品「正五角形12」・・・>
今日の表紙に陶芸作品「正五角形12」を掲載した。このところ毎日表紙の「正五角形」を更新してきて今日が最後の12枚目である。これまで紹介した12枚の正五角形を全てつなぎ合わせると「正12面体」となる。12枚の正五角形の中で今日掲載したものだけが陶芸で焼成した後に特別の工作を加えた。写真のように5個の三角形型窓を作り、蝶番で開閉できるようにしたのであるが、開閉をスムースにできるように調整するために焼成後の陶製品にヤスリをかける作業までやった。蝶番を使うから窓板の厚さを周囲の隙間に合わせて部分的に薄くしなければならない。これが蝶番の取り付け方によって想定以上に隙間が変化して苦労した。とにかくも12枚目の「正五角形」が出来上がった。次は平面から「立体」へ。「正12面体」の完成は目前だ!

6月6日(水) <ボストン美術館・・・>
「ボストン美術館・日本美術の至宝」の展覧会を見た(@東京上野・国立博物館/6月10日まで開催中、案内=ここ)。アメリカで最も古い美術館の一つであるボストン美術館が現在収蔵する日本美術の作品は実に10万点を越えるという。今回の展覧会に”まぼろしの国宝ニッポンに帰る”とサブタイトルが付いている通り国宝級の名品が多く里帰りしている。フェノロサ(1863〜1908、明治政府のお雇い教授、収集品1000点以上)やビゲロー(1850〜1926,大の日本びいきコレクター、収集品4万点以上)らが岡倉天心(1863〜1913)と日本国中で収集したことが知られているが、明治の混乱期に廃棄されかねなかった美術品がまとめて保存されて今見ることができるのは幸運としかいいようがない。日本国内で評価されない名品が外人の目で発掘される事例を今回の展覧会でも見せつけられる。私が最も衝撃を受けたのは曽我蕭白(そがしょうはく、1730〜1781)の作品。この奇才の名前は知っていたが強烈なパワーをもつ作品の実物を見たのは始めて。里帰り作品を見ながら日本美術の質の高さに改めて驚嘆する。
今日の写真は上野・国立博物館の脇から見えた東京スカイツリー(下、左)とその後ツリーの近くまで行って撮影した写真を掲載する。
2012-06-06@上野(左)&押上(中、右)

6月7日(木) <ドデカヘドラン・・・>
「ドデカヘドラン1」のタイトルで表紙に「今日の作品」(陶芸)を掲載した。ドデカヘドランとは12面体のことで、ドデカ(dodeca)が12、へドラ(hedra)が面を意味する。今回制作した「正12面体」はこれまで掲載してきた12枚の正五角形板をつないでできたもの。五角形を表す「ペンタゴン」はアメリカの国防総省としてお馴染みである(国防総省の本部庁舎が5角形をしている)が、「ドデカヘドラン」は”ドデカイ”とでも連想しなければ覚え難い。さて、正五角形が12枚で正12面体。正多面体とされる立体はそれ以外に4種類しかない。正三角形が4枚で正4面体、正三角形が8枚で正8面体、正三角形20枚で正20面体、そして、正四角形(正方形)6枚で正6面体(立方体)。面白いのは正12面体の体積は正20面体の体積と比べるとより球体に近いこと。正12面体は正多面体の中では特異な存在といえる。掲載した正12面体をどのような使い方をするか、用途を工夫するのがこれからの楽しみだ・・。


6月8日(金) <ドデカヘドラン2・・・>
「ドデカヘドラン2」(陶芸作品)を「今日の作品」として表紙に掲載した。昨日の「ドデカヘドラン1」に続くもの。今回は正12面体の一面を開放し中が見えるようにした。各正五角形の5箇所の角部には前もって2個の穴を開けてある。この穴を使ってそれぞれの板をつなぎ立体とする。直径1.5mmの工作用のフレキシブル針金(一つは長さ50mmほど)を準備して、その一端にビーズを固定して接続用の材料とした。正五角形一枚で10本の接続針金を使うので全部で120本が必要。この内、正五角形一枚分を固定せずに自由に開放できるようにしたのが今日掲載した写真である。・・正12面体がようやく完成したので今日の陶芸教室では気楽な茶碗造り。私がお茶碗を作っていると周りから”珍しいものを作っていますね。何か仕掛けがあるのですか?”などと尋ねられる。今日は気持ちの良い初夏の気候。明日は雨の予報で梅雨も間近らしい・・。
   2012-06-08@目黒川緑道にて(東京・目黒区)

6月9日(土) <ニュートリノ・・・>
ニュートリノ(素粒子)が光より光速で飛んだという実験結果は世界に衝撃をもたらした(昨年9月)。質量を持つ物質は光速を越えないというアインシュタインの相対性理論に反する結果であったため世界的な論争を呼んだ。それがこの数日のニュースでは”計測の誤り”として「光より速い」事実はないことで決着した。それにしても多数の専門学者が当然のことながら計測精度など幾重にも検証して発表した実験結果は大失態に終わった。何しろ当初の報告では光より10億分の6秒早いという微細な差。光ケーブルの接続不良(ケーブルに約1.5mmの隙間があったこと)で計測用の時計にズレを生じさせたという説明も何を今更である。世界中の頭脳を結集した事実の確認さえこのようなミスを犯すから「真実」とは何と奥深いことか。ふと裁判の再審をも連想する。ましてや諸々で見かける「自分だけが正しい」の議論が空しい。
「今日の写真」は雨に濡れる紫陽花三葉。東京は今日梅雨入りとなった。
2012-06-09

6月10日(日) <Stay hungry , stay hoolish・・・>
Stay hungry , stay hoolish . ・・「貪欲であれ、愚かであれ」。これは昨年56歳の若さで亡くなったアップル社の創業者ステイーブ・ジョブズが2005年スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの最後の言葉。今日、特に理由はないけれども、この伝説の名演説をまた全部聞き直して元気をもらった。この時ステイーブ・ジョブズ氏は膵臓癌を克服した後であったので「死」についても語っている。若い卒業生を相手に「君たちが持つ時間は限られている・・」と語っているのが何か自分に言い聞かせているようにも聞こえる。自分の体験を語るところでも、創業したアップル社を30歳で退任に追い込まれた経緯について、「その時は分からなかったけれど、アップルを解雇されたことは自分の人生最良の出来事だったと後に分かった。・・おかげで私の人生で最も創造的な時期を迎えることができた」とまで話す。講演を行った時にはアップルのCEOに復帰して数年を経ていたにしてもプラス思考のサンプルを見る思いだ。ステイーブ・ジョブズ氏の英語は非常に歯切れが良く分かり易い=伝説のスピーチ=ここ<ページ中央の動画/日本語字幕付き(CCで日本語選択)が便利>。

6月11日(月) <人はどうして花を美しいと・・・>
人はどうして花を美しいと思うのだろう・・。久しぶりに近所の公園に散歩に行くと名前も知らない綺麗な花があちらこちらで咲き誇っている。デジカメで写真を撮りながら、「美しい」という感覚が不思議に思えてきた。犬や猫ならば匂いや雰囲気を敏感に感じるだろうが”美しい”感覚ではないだろう。動物の生存本能として「美意識」は特別に必要とされない。「花」もまた人間を喜ばすために咲くのでなく生命体として子孫を残す過程の一つを示しているに過ぎない。それなのに人間は花の美しさに感動する。人間が動物と決定的に違うのは人間は「美」の感覚を持っており、時には美に命をかけたり美の追究を生涯の目標とすることもある。逆に、人間だって動物的に生存競争に明け暮れているときには”花が美しい”などとは思わないのかも知れない。人間の中でも「美意識」は千差万別。考え出すと際限がない・・。
 
2012-06-11@中目黒公園にて<左端はねむの花、右三つは紫陽花シリーズ>

6月12日(火) <浅野ゆう子・・・>
「浅野ゆう子、田宮五郎と交際・・」。普段は余り気にしないこんな芸能ニュースが目に付いた。女優の浅野ゆう子さん(51歳)が俳優の田宮五郎さん(45歳、往年の名俳優、田宮二郎さんの次男)との交際を認めて、今日”静かに見守って下さい・・”とコメントをだした。田宮五郎さんはこの4月にくも膜下出血で倒れ大手術を受けて現在も”生きるために"必死に病と闘っている最中という。実は浅野ゆう子さんが主演している明治座の舞台を先週見てきたばかり。演目は江戸川乱歩原作の「黒蜥蜴(くろとかげ)」(6/24まで、案内=ここ)。浅野ゆう子さんは女怪盗・黒蜥蜴の主役で終始華やかに芝居を引っ張っていた。チケットは知人からいただいたので気楽に観劇したが、三幕ものを昼の部、夜の部と毎日続ける公演はかなりのハードスケジュールだ。浅野ゆう子さんの心労は尋常でないと思われるのに芝居では全く気配も見せず頑張っていた。役者稼業も楽ではない。まだ10日以上公演日が残っている。影ながら彼女を応援しよう・・。浅野ゆう子さんとは別にどうしても相手方の父親、田宮二郎さん(1935〜1978)の壮絶な人生を思い出してしまう。長身でハンサム、「白い巨塔」の主役などを演じた彼は43歳の若さで妻と二人の子供を残して猟銃自殺した。今話題の渦中にある息子さんはもうその年齢を越してはいるが生きるために(そして恋人のために?)病と闘う。こんなドラマの筋書きを誰が書いたのか・・。
6月13日(水) <映画「テルマエ・ロマエ」・・・>
映画「テルマエ・ロマエ」を妻と見に行った(案内=ここ/今日はレデイーズデイで映画館は混んでいた)。「テルマエ(Termae)」とは古代ローマの公衆浴場のことで、この映画は2010年に漫画大賞を受賞したヤマザキマリさんの漫画の映画化だ。漫画を滅多に見ない私も以前漫画「テルマエ・ロマエ」を一度読み始めると止まらなくなった。とにかく発想がすごい。古代ローマの共同浴場と日本の現代の入浴文化を関連させてタイムスリップを繰り返す奇想天外な物語。映画では阿部寛の浴場設計技師ルシウスがこれ以上ない適役。古代ローマと現代日本を行き来する際の演出(音楽)にも感心した。原作者がどうしてこんな発想ができたのかはヤマザキマリさんの経歴を見て少しは納得する。彼女は14歳の時にドイツ、フランスを一人旅した経験があり、その後17歳でイタリアに渡り、フィレンツェで油絵を学びながら11年間イタリアに滞在したという。今はイタリア人の夫とカナダに住む。私の娘が丁度ヤマザキマリさんと同年代であるが、日本を外から見る機会が多いと日本文化の特質を理解することは確か。それにしても東西文化の中から浴場に着目したのには脱帽。
今日の 表紙には陶芸作品「 ドデカヘドラン3(正12面体)」の新しい写真を掲載した。


6月14日(木) <昔の夢物語が現実に・・・>
昔の夢物語が現実に日常の中でできることに私たちはもっと感動しなければならないのでは・・。そう思わせる一つはインターネットのパソコン画面で相手を見ながら世界中と話しができるテレビ電話。Skype(スカイプ)の機能を使うと無料で交信できるのだから信じられない。今日は妻が iPhoneを使って更に進化した”テレビ電話”をやっていた。iPhone4には「Face Time」という無料の動画通話機能が内蔵されている。これはWi-Fiネットワーク(無線LAN)を使って iPhone内蔵のカメラで自由に映像をやりとりができるシステム。ケイタイを使い(Wi-Fiがあれば)場所の制約を受けないので、妻はニューヨークに住む娘や孫娘の顔を見ながら、”今は庭の紫陽花がこんなに咲いているわよ”とか、”これがオトウサンの最新作の正12面体”とか、食事のおかずを見せるのも自由自在。こんなことが無料で出来てしまう!これは一体誰に感謝すべきなのか・・。一方的に進化を続ける道具の恩恵を享受しながら自分は何ができるのだろうと思ってしまう・・。
今日の写真(下)は知人と訪れた店の屋上庭園にて撮影。
 
2012-06-14@玉川高島屋・ガーデンアイランド (東京・世田谷区)

6月15日(金) <梅雨の中休み・・・>
梅雨の中休み、貴重な晴れ間に大々的に布団干しをして、ついでに部屋の大掃除をした。いつもながら"モノ”が多すぎる。どうしてこんなにモノが溜まるのか。不要なものも多いが、不要と言わなくても必ずしもなくて困ることもないものが数知れない。何年間も手に触れたこともないモノも散乱している。そこで思い切りよくゴミ袋に片っ端から放り込んで処分することにした。けれどもその割りには片付けが終わった後の見た目は大して変わらない。棚や引き出し類など入れ物自体が多すぎるのだ。本日のところは手が回らなかったが収納用具を減らさなければスッキリはしない。自分の身の回りの整理もできないのに他人のことは言えないが、国や役所のレベルでの汚れや無駄は想像を絶する巨大なものだろう。大掃除(行政改革)が必要なことだけは十分に理解できる。
2012-06-15@目黒川緑道にて

6月16日(土) <一雨毎に草木は大きく・・・>
一雨毎に草木は大きく成長する。タケノコはピーク時には一日24時間で1メートル以上伸びるという。鳥が運んできた種で名も知らぬ樹木がいつの間にか大きくなって庭を狭く暗くしていることがよくあるが、今日は梅雨空の下、知人の庭でそんな樹木を存分に切り倒した。自分の庭がない身としては他人の庭であっても植木屋さんになった気分で樹木を剪定するのは快感であった。直径が50〜60mmほどの幹でも切れ味の良い上等のノコギリを使って(借り物だ!)切り落としの所要時間はわずか数秒。何故か樹木が柔らかったので自分でも不思議なほど簡単であった。こうして小雨が降ったり止んだりする中で20〜30本をバッサバッサと切り落とした。・・最近庭木に関連して思うことは”庭が荒れ果てると、その地はやがて他人の手に渡る”こと。反対に植木屋さんが入らなくても自分で愛情を持って世話をしている庭はいつまでも続く。都会では庭付きの家は多くないが庭の手入れを見ると住んでいる人の息づかいが分かるような気がする。
6月17日(日) <今日は桜の切り株・・・>
今日は桜の切り株を掘り起こしたのが大成果。自分が住んでいるところとは関係ないが浅からぬ因縁がある桜の切り株をいつの日にか掘り起こしたいと思っていた。事前にインターネットで「樹木の切り株処理」の方法について情報を集めてから、今日、自動車で現地に赴き周囲の人に了解をとって掘り起こし開始。はじめはダメモトで巨大な切り株など掘り起こせなくてもしょうがないと期待はしていなかった。ところが事前の調査の通り焦らずに少しづつ周囲の根を切りながら地上で1m以上成長しているひこばえ(蘖)の株も含めて3個の株を完全に掘り起こすことに成功した。掘り起こした株は水洗いをした後、オブジェ風に展示した(下の写真)。この桜の切り株オブジェを前にしてゆっくりと時間をとって桜と話をした。命あるものは必ず滅びる、安らかにお休みください。そう言って桜の霊を供養したかった。桜の命は亡くなったけれども他に類のない切り株オブジェが残っている・・。
2012-06-17

6月18日(月) <心/mieuへの絵手紙・・・>
「心/mieuへの絵手紙」(ペン&水彩)」を今日の作品として表紙に掲載した。この絵手紙は絵の裏側に文章や宛名も私が書いて切手を貼って出したので、今はもうニューヨークに住む孫娘のところに着いたころだろうか。文章では「バナナとジャガイモを並べて描くと”心”の字になってしまいました」、「心を大切に・・」などと書いた。実際に家の中で目に付いたバナナとジャガイモを使ったのだが「文字」にするとは何とも安易で少々恥ずかしい。また孫娘に「心」を説教するのも俗っぽいとは思う。それにしても「絵手紙」を離れて、最近は「心」が寒々するニュースばかりで辟易する。特に心の絆が破綻した夫婦の様子が伝えられるとこちらの気持ちまで暗くなる。高嶋政伸さん夫妻の離婚裁判の醜悪さは何だ。私とほぼ同年代の小沢一郎さんまで奥さんとの心のすれ違いは修復不可能に見えると思うと、先日お亡くなりになった寛仁親王の夫婦関係まで伝えられる。こんな話はいい加減にして、もっと心温まる話題が欲しい。


6月19日(火) <なくして初めて知る・・・>
なくして初めて知るのは「親の恩」に限らない。このところ私たち夫婦そろって何かと不自由を強いられて初めて当たり前でできることの有り難さを感じている。例えば、転んで左手が自由にならなくなると左手といえども如何に役割が多いかを知る、メガネを壊すと裸眼では普通に生活できないことを知る、指先を挟んで痛めると正常にキーボードが打てるだけで有り難い、膝が痛いときには小走りで走れることの幸せを知る・・。加齢による少々の不具合があっても天からの警告と受け留めて回復に努めなければならない。考えてみると今「当たり前」であることが実は非常に恵まれた環境の下で可能になっていることが多い。自分のホームページで好きなことをつぶやいたり掲載したりすることや世界中のインターネットサイトで情報をみることも、どこの国でもできることではない。日本の隣の国(北)では庶民には「夢」であろう。社会に不満をもらすことはたやすいが時に「恵まれた環境」を見直しても見たい。最近、親が亡くなって25年も経過しているのに「親の恩」を思うのはどうしてだろう・・。

6月20日(水) <お国はどちらですか・・・>
”お国はどちらですか”という会話がいまでも通用するのだろうか。少し前までは「お国なまり」が出たときに”ご出身は?”というよりも”お国は?”と聞かれた。それに対して私が「兵庫県」とか「姫路」と返事をしたのも面白い。「播州」とか「播磨国」とは言わなかった。「播州赤穂」といえば忠臣蔵だが「播州姫路」と言えばよかったかも知れない。今日は東京の町で「遠州屋」の看板をみた。現在の静岡県西部である「遠江国(とうとうみのくに)と何か関係があるのだろう。遠江国に対しては都の近い近江国(おおみのくに)・江洲(ごうしゅう)<今の滋賀県>には「近江屋」がある。こんな調子で書き出せば、上州・上野国(こうずけのくに)<今の群馬県>に「上州屋」がありそうだが、釣り具の「上州屋」は群馬とは関係がないようだ。更に、奥州屋(陸奥)、武州屋(武蔵)、甲州屋(甲斐)など適当に「屋」の字をつけてみてもポピュラーな名前にはならない。いずれにしても「お国」の呼び名は歴史の重みを感じさせる。日本の中で「お国は?」の会話がこれからも続けられるようにしたい。
今日の 表紙に「新緑/mieuへの絵手紙」(水彩)を掲載 。自然教育園の新緑を描いた絵ハガキだがもう梅雨時になってしまった。


6月21日(木) <このところ異常にモノを壊す・・・>
このところ異常にモノを壊す。二三日前には洗い物しているときにサラダ用のガラスボールを落として壊した直ぐ後でガラス製の霧吹きをやはり落っことして割った。今日は自転車で帰宅した後、狭い玄関に自転車を置こうとして「陶芸作品」を壊してしまった。お気に入り球体型照明であったのに(写真・下左)・・。直接原因は暗い玄館内に配達されたばかりのダンボールが置いてあったのでそれを避けようとして自転車の後部に引っかけたなど理由を挙げることはできる。けれども間接原因としては最近の失敗と共通の要因がいろいろとありそうだ。根本的には私的に不本意なことが重なってとにかく気分的にゆとりがないこと。そういえば陶芸教室に通ったり絵を描いたりする余裕もない。・・テニスのゲームの経験からいえば、ミス続きの時には雑念を払って過ぎたミスのことや余計なことを考えずに楽しむことに集中するのがよい。楽しむ余裕が一方で集中力を生むことを実践してみよう・・。
今日の写真は壊れた陶芸作品だけだと楽しくないので「八重咲きインパチェンス」の写真を並べた。
 
2012-06-21

6月22日(金) <「金継ぎ」という陶磁器の修理法・・・>
「金継ぎ」という陶磁器の修理法がある。お気に入りの陶磁器が欠けたり割れたりした場合、漆(うるし)で接着し継ぎ目に金の粉をまいて模様にして修理する日本独特の技法だ。修理後の継ぎ目の線を「景色」と称して破損前とはひと味違う趣を楽しむ。日本人の「もったいない」の思想がこの辺りにも生きているように思える。私の陶芸では「金継ぎ」ほどに立派な修理ではないが接着剤を使用する「修理」を幾度となく実施してきた。今日は昨日のコラムで書いたバラバラに破損した陶芸作品「球体」を丹念に修理した。一つの価値観からみると壊れたモノは価値がなく修理することの意味を認めないかも知れない。けれども私は修理跡に「景色」を見て新たな価値を見いだす日本流の価値観が好きだ。完全無垢の美だけでなく崩れた良さを認める美意識と共通している。日本人の修理跡に「景色」をみる感性は物品だけでなく人間の生き様に対しても反映されているのではないか。人の失敗を認める「優しさ」は大切にしたい。
今日の写真は修理した後の「球体」。オリジナルは5年前、2007年7月の作品「球体ランプ」(=ここ)であった。
2012-06-22

6月23日(土) <クローズアップ写真・・・>
クローズアップ写真が造形のヒントになるかも知れないと思い始めた。と言っても月や木星など天体のクローズアップはとても手がでないので、やはり手近な植物や動物、虫などであろうか。人の目は極めて大雑把にしか見ない。自分の身に影響が及ぶ可能性のある目前の事物を脳がキャッチする時点で何重にもフィルターがかけられている。興味がなければ目の前のものであっても記憶には残らない。クローズアップの写真は普通の目では気がつかない細部を記録に残してくれる。植物の葉一枚一枚を比較してみると決して同じではない各々の個性がある。動植物細部には神の造化の妙が際限なくちりばめられている。今日の写真(下)は手始めに三種類の花のクローズアップを並べてみた。左が紫陽花(あじさい)、中がモントブレチア(姫檜扇水仙)、右が白蝶草(ガウラ、山桃草)。今日の所はまだ本格的なクローズアップではない。カメラのレンズを交換してこれからもトライしてみたい。
2012-06-23@目黒川緑道

6月24日(日) <アンリ・ル・シダネル展・・・>
「アンリ・ル・シダネル展」にいった(@損保ジャパン東郷青児美術館にて開催中、7/1まで、案内=ここ)。20世紀初頭に活躍したフランス人画家、アンリ・ル・シダネル(1862〜1939)のことを私は知らなかった。案内を見てどうしても実物の絵を見たくなったので思いきって運動を兼ねて自転車で会場に向かったのだが結果は大満足だった。キュビズムや抽象絵画が台頭してきた時代にシダネルは身の回りの事物や光景を一貫して印象派風の画風で描いている。私は同時代のカンディンスキー(1866〜1944)などの抽象絵画も好きだが、シダネルの絵を見ていると無条件に気が休まる。描き手が何を表現したいのかが素直に伝わってくる。平安とか静寂の中にエネルギーが充満していた。美術館を出るときには無性に絵が描きたくなった。
今日の写真(下)の左は42階の美術館からみた新宿・モード学園コクーンタワー(繭<マユ>ビル)、右は地上から見た都庁。
今日の作品として表紙に鉢(陶芸)<再焼成品>を掲載。5年前穴窯で焼成した鉢(2007年6月2日=ここ=掲載)を追加の釉薬をかけて家の窯で再焼成したもの。
2012-06-24@新宿(東京)

6月25日(月) <マスコミは他人を褒めない・・・>
マスコミは他人を褒めない。批評家精神とやらが本領の職業だから自分のことを棚に上げて他人を貶し(けなし)嘆いてみせる。一方で本当の権力には楯突かずに逃げる。叩いても支障がない相手だけを攻める。・・そんな思いがするのが小沢一郎さんの奥さまの暴露事件。煙は立ち上がったけれども、テレビ・新聞は見事に無視し口を閉ざす。やはり小沢さんの力は健在なのだろう。巨人軍、原辰徳監督の1億円をゆすられた事件もまた”読売”関連マスコミは火消しにあわただしい。・・「真実を暴く」とか「真実を報道する」のは容易なことではない。歴史の「定説」になっていることが「真実」ではないことなどいくらでもある。そもそも「真実」とは何なのか。人間は(物事も同じ)長所を見るか欠点を見るかで真反対の評価となる。できることはマスコミ報道は操作されたもので真実とは限らないことを誰もが頭に入れておくことか・・。
2012-06-25@代官山 ivy-place にて、上はマートル(ハーブの一種)の花

6月26日(火) <陶芸家の知人・・・>
陶芸家の知人が開催する展覧会を見に行った(オフィシャルサイト=ここ)。知人というより元先生。10年ほど前に陶芸を習い始めたときに彼は教室で助手をしていた。陶芸家として独立した後、何度も彼の展覧会に行ったことがあるが毎回意欲的かつ挑戦的な作品造りを続けている。今回も土の力を引き立たせるシンプルな肌合いのすばらしい作品群を見せてもらった。陶芸家や画家などの職業は好きでその道を進んでいるにしても、それだけで生計を立てることは容易ではないだろう。個性を披瀝して売ることの難しさを推し量ることはするけれども、いつも展覧会を見るだけで自分で買い上げることはできないのが残念。他人の作品を買うことはなくても、売ることを考えずに好き勝手なモノツクリができる今の自分は有り難い贅沢をさせてもらっている・・。
2012-06-26@展覧会場にて

6月27日(水) <茄子(なす)にも色々な種類・・・>
茄子(なす)にも色々な種類があることは知っていたが、とてつもなく長い「大長茄子」を妻が買ってきた(下の写真)。全長55cm。こんなに長い茄子をこれまで見たことがなかった。九州産というが、九州では博多長茄子、久留米長茄子、あるいは熊本ものなどが有名であるらしい。長茄子は西日本に多いようだが全国的な茄子のマップを見ると仙台長茄子、南部長茄子など東北地方でも栽培されていることを知った(=ここ=参照)。東京でも最近は各地の長茄子が簡単に手にはいるようだ。茄子の英語は"eggplant"。長茄子はどうみても「長い卵形」とは呼べない。英語でなんというのだろう・・。
2012-06-27

6月28日(木) <久しぶりに鉛筆画・・・>
久しぶりに鉛筆画を描いた。表紙に掲載した「九品仏/mieuへの絵手紙」のスケッチ画。これは先日見たシダネルの展覧会の影響を受けている。シダネル展(6/24コラム参照)では身近な庭の風景を鉛筆画で描いた絵も展示されていた。シダネルは”身の回りの人物や事物、光景を親密な情感を込めて描く”ので「アンティミスム」の画家と呼ばれるという。アンティミスムとはフランス語のantime(英語のintimate<親しい、親愛な>)から派生した言葉。実際に彼の絵画を見ていると無理に突っ張ったところがなく親しみが持てたので早速こちらも鉛筆画でスケッチを試みてmieuへの絵手紙とした。描いてみて分かったのは「親密なる情感」を伝えることは容易ではないこと。初心にかえって身の回りのものをもっともっと描いてみようか・・。
今日のニュースでザ・ピーナッツの伊藤エミさんが15日に亡くなっていたことを知った。 死因を報じているものは見つからなかったが年齢は私と同じ。ご冥福をお祈りします。合掌。


6月29日(金) <「おくやみ一覧」記事・・・>
「おくやみ一覧」記事をみると(=ここ/日経新聞)享年は80歳後半、90歳直前の人が圧倒的に多い。新聞に掲載されるのだからほとんど元○○という昔の肩書きを亡くなってからも背負っている人々だ。日本人の平均寿命は男性約80歳、女性約86歳だから地位を築いた人が90歳で亡くなるのはごく普通の成り行きだろう。「おくやみ記事」を見たのは昨日コラムに書いたザ・ピーナッツの伊藤エミさん(71歳)に続いて今日のニュースでタレントの小野ヤスシさん(72歳)、俳優の地井武男さん(70歳)の逝去が相次いで報じられたからである。たまたまこの人たちはそろって私と同一年代の人で平均寿命からみると早すぎる。最近は何かもっと長生きをして欲しい人ほど早く亡くなる気がしてならない。自分の年の数(年功)が自慢の種であったり、昔の肩書きやよき思い出に浸りながら老人たちが長生きをすることもあるだろうが、今は年齢を重ねることだけで社会から歓迎される時代ではなくなった。自分のことを棚に上げて言えば、高齢になって、どんなことでもいい、何か少しでも社会のため、周囲の人のためになることをしている人を私は尊敬する。
2012-06-29@中目黒公園/ハグマノキ(白熊の木=Smoke Tree)

6月30日(土) <いまアガパンサスの花・・・>
いまアガパンサスの花が見頃である。近所の公園、自転車で通る緑道、洒落たレストランの休憩用ベンチの横など至る所でアガパンサスを目にすることができるが、以前は滅多に見られる花ではなかった。彼岸花のように一本の長いメインの茎があり、その先から四方八方に枝分かれした花茎が伸びて最先端に多くのユリのような花を咲かせる独特な形態。一度見ると”なんだこれは!”と忘れることができない。アガパンサスは南アフリカが原産で園芸品種は300種以上あるとの解説があった。どうりで色々な場所で見かけるアガパンサスの色や形が微妙に違っている。アガパンサスはギリシャ語のアガペ(愛)とアンサス(花)からなる名前で「愛の花」の意味。いま愛の花盛りという訳だ。「梅雨晴れの アガパンサスや 誰を見る」(TH)。
2012-06-30アガパンサス@北沢川緑道にて

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