これまでの「今日のコラム」(2014年 6月分)

6月1日(日) <都内でも30℃を越す真夏日・・・>
都内でも30℃を越す真夏日となった今日息子の墓参りにいった。明日が月命日で一日早い墓参だったが墓のあるお寺(九品仏・浄真寺/東京・世田谷)の木々は1ヶ月前の新緑とは様変わりして濃緑。梅雨入りはまだ先なのだろうか。墓前には今月も一足先に来てくれた人が供えてくれたお花が暑さの中で未だ元気に咲いていてくれた。感謝! いつもながら墓参りと同時に緑を眺めながらゆっくりとお寺の境内を巡り阿弥陀堂で阿弥陀如来像に拝顔すると何か新しいエネルギーを注入されたようにやる気をいただく。今日から6月。この月もやることが多いぞ・・。
 
2014-06-01 九品仏・浄真寺

6月2日(月) <”勢い”で行動する・・・>
”勢い”で行動することをラジオ体操(テレビ体操)から学んだ。このところ朝の6時25分から10分間テレビ体操を続けている。昔から画一的な「ラジオ体操」が嫌いであったのがどうして毎日の日課にするほどのめり込んでいるのか。公園などで見る老人のだらだらラジオ体操ではない、きびきびした本物の体操を画面の中で見たからであった。そこで閃いたのは若者と老人の行動パターンの違いである。切れの良い若者の運動は”勢い”を活用する。重力とか慣性をフルに使って勢いを付けて腕や身体全体を動かす。若者のいいところは決断が早く逡巡(しゅんじゅん)しないこと。ミスを怖れないこと、ミスをすれば直せばよいと、ためらうことなく前向きに行動するから事が果たせる。躊躇(ちゅうちょ)したり考えすぎると機会を逸する。若者に学んで勢いで行動しよう。・・実は、こう思って最近の転居の準備、モノの分別、廃却処分を行うと随分と仕事がはかどるようになった。細かいところは気にしない。ベストでなくても良い。失敗してもかまわない。勢いを持ってとにかくも行動する。人間は損得勘定をすると勢いがなくなる。他人に迷惑のかからないことばらば、自分がやりたいから、好きだからこの道を突っ走るといったスタイルが一番精神的によさそうだ・・。

6月3日(火) <日本の常識は外国では通用しない・・・>
日本の常識は外国では通用しないと言われる。「歴史の常識」となるとそれぞれの国や地域の違いは更に大きくなる。ニューヨークに住んで、ミドルスクールに通う孫娘がヒストリーの試験で「Robert Mosesによるニューヨークの変化」についてレポートする課題であったと書いているが(=ここ)、Robert Mosesのことは日本ではほとんど知られていない。ニューヨークの都市計画で絶大な権力をもって橋梁、トンネル。高速道路、高層ビルなどの建設を推進したロバート・モーゼス(1888〜1981)のやり方は後に功罪を問われることにもなっているようだが「歴史」としてこのようなテーマを議論し合うのが米国らしい(参考の本=ここ)。しばしば「歴史の評価を待つ」という言い方がされるが、歴史が真実のことを伝えるかはまた別問題。国と国の争い事など作られた歴史のぶつかり合いだ。大人がヒストリーの試験を受けたとして、ある国では満点、ある国ではゼロ点のことがあるから「歴史」は難しい。

6月4日(水) <出歩いた割にはアウトプットがない・・・>
出歩いた割にはアウトプットがない一日だった。アウトプットとは結果とか成果。そうそう毎日目に見える成果がでることもないので仕方がないか。遊びでも観光でもなく所用で原宿-六本木-銀座と都心を移動したが何一つ買い物をした訳ではなく、新たに収穫できたものもない。いや、正確に言うとお土産に銀座木村屋でパンを買ったのみ。移動もシルバーパスを有効に使って交通費は最低限。出費がないのはいいとして何時間も掛けて外出した成果は本当にないのだろうか。考えてみると今日やったことはアウトプットを期待するものではなくインプットに相当するものであった。陶芸ならば粘土の土練り、絵画ならばキャンバスの下塗り。この作業があってこそ次のステップに進める。はっきり言えるのは今日の成果は「ウォーキング」だ。
 
2014-06-04(左)六本木アークヒルズ/カラヤン広場 (右)銀座4丁目のショウウィンドウ

6月5日(木) <テレビの天気予報・・・>
テレビの天気予報を見なければ今日の午前中にはテニスを楽しめたのに・・。昨夜の予報も今日早朝の予報もテレビでは朝から一日雨(東京地方)。地元(区単位)の天気予報を掲載する読売新聞インターネット版でみると午前中は雲マーク。朝の道路掃除の時間には雨の兆しが全くなかったので大いに迷ったあげくに外出は止めた。結果的には12時少し前からほんの少しの雨がぱらついたが十分にテニスはできた空模様だった。天気予報に限らず予測や推測を含む情報が氾濫する時代。ただし情報に誰も責任をとらないし、予測の結果が間違ったとしても反省はほとんど聞かれない。予測が外れましたとコメントされることもない。今日の午前中の天気予報も恐らく「東京」という広い地域としては「ハズレ」としないのだろう。自分の周りの狭い範囲の天気は自分の身体で予測する方が的中することもある。インターネットの情報もまた過多。その中からどれが本物か真実か、やはり個人の感性で判断しなければならない・・。

6月6日(金) <20年間ほどのシステムノート・・・>
20年間ほどのシステムノートを廃棄処分とした。転居の準備を進める中でこのところ「捨てる」について思い切りが良くなったのは確かだ。何事も”勢い”で前だけ見ると過去に未練はなくなる。システムノートは現在に至るまで30年以上毎年使用しているので、最近の10数年分はまだ廃棄せずに保留しているが・・。システムノートといっても日記帳に近い。その日どこで誰に会ったか、何をしたか・・。仕事以外に購入したものとか、休日にはテニスの戦績まで記録してあった。時に読んだ本の感銘した言葉などをメモしているのもご愛嬌。そうはいっても過去の日記帳はほとんど意味はない。過去に陶酔するほどの実績もなし、これから先を生きるには過去は不要としよう・・
今日の写真(下)は猛烈な雨を喜ぶ鴨の家族 。
 
2014-06-06 @都ホテル(東京・白金台)の庭にて


6月7日(土) <照明の日進月歩・・・>
照明の日進月歩には驚かされる。昔から照明器具を手作りすることは好きで陶芸でフロアランプを作ったりガラス棒を使ってシャンデリアを作った(=ここ/2004-3/24。2013-8/16)こともある。自分の家でも白熱電灯をLEDの電球に変えることはいち早く取組んできた。けれども最近のシーリングライト(天井照明)の多くの機能については知らなかった。小型のLEDを信号灯のように沢山まとめて明るい照明としただけでなく、今の天井照明はリモコンにによって明るさを調整することができるし、照明の色合いを思うように選ぶことも出来る。電球色から昼白色まで中間色を含んで自由自在。部屋の雰囲気を色合いでガラリと変えてしまうからすごい。多数のLEDを使うからできる技であろうが、従来の照明と考え方が変わったのは、電球(あるいは蛍光灯)を単体で交換することはやらないこと。LEDの寿命は40000時間とか10〜20年とされるがLEDの交換時期には照明器具全体を交換する。それはそれで寿命と割り切れば、次に交換する時点では照明器具がどのように変わっているか少し楽しみ・・。

6月8日(日) <南無妙法蓮華経・・・>
南無妙法蓮華経の声がまだ耳元で鳴っている。今日は谷中のお寺で義兄の一周忌法要があった。日蓮宗のお寺なので南無妙法蓮華経。私の場合いつもは浄土宗系の南無阿弥陀仏を聞く機会が多いので南無妙法蓮華経が何か新鮮に聞こえた。お経を聞きながら親しくしていた義兄が急死してからのアッという間の一年間を思った。義兄とは生前はもちろん亡くなった後にも深い因縁で結ばれている。法要後の食事会で息子さんから義兄の急死を知った知人・友人から受け取った手紙を一部拝見させていただいたが、みな尋常でない光を与えていたエピソードばかりが綴られていた。余程の人徳があったに違いない。そういえば私などは義兄の亡くなった後でもパワーを受けていると思うことがある。これはただごとではない。改めて、合掌・・。

6月9日(月) <現在の世界人口は約72億人・・・>
現在の世界人口は約72億人。古いノートを整理していたら1981年当時世界の人口44億人とのメモがあった。考えてみると恐ろしくなる人口増加である。キリスト生誕時、世界人口は約2億人、太平洋戦争終了時1945年で約23億人。33年前の私のメモは「死に絶えた人類より多くに人間が生きている」とある。有史30万年の人類総数が500億余人とみて、その10%以上が今地球上に生きているのは凄いことだ。世界中の人間のことを考えると私たちは生きていけないかも知れない。生存競争に負けるかも知れない。1.2億人ぽっちの日本人が地球上から消えてしまっても世界の人は関係ないかも知れない。世界の人口をみると私たちの命は蟻と変わりなく思えてしまうがこれだけの尊い命が現に生存できていることは正に奇跡であろう。人間という考える生命体が宇宙に存在すること自体が希有なこと。時に地球規模、宇宙規模の時の流れを見てみると些細なことはどうでもよくなる・・。

6月10日(火) <今のマスキングテープの種類・・・>
今のマスキングテープの種類の豊富なことには驚く。マスキングテープというと自分で壁を塗装する際にペンキを塗りたくない箇所を覆う保護テープとして使ったり、粘着力が弱く簡単にはがせるので仮止めテープとしても重宝してきた。ところが今は単純な養生テープの用途ではなくデザイン用具として非常に幅広く利用されることを知った。実に多くの種類があり魅力的な柄のテープも山ほどある。最近、ガラス窓に張る素材を見に文房具のコーナーに立ち寄ったところ遅まきながらマスキングテープの進化に驚いた次第だ。先日、6/7のコラムで照明器具の日進月歩を書いたがマスキングテープもまた同じように知らぬ間に変貌している。昔の経験や知識だけで済ましているのが老化。最近は新製品のインプットが不足していると反省する。電気製品も文房具もその他の諸々、時に店を廻って最新の製品を見て歩くのも老化防止だぞ・・。<最新のマスキングテープを使ったアイデイア例=ここ

6月11日(水) <立派なイーゼルを持っている・・・>
立派なイーゼルを持っているのに全く活用していなかった。「イーゼル」は絵画のカンバスを固定するための「画架」。私は一時油絵にも凝った時期があり、そのころ脚の部分に車の付いたH型のイーゼルを手に入れたのだが最近は絵画とは無関係で雑物置き場になり埃(ほこり)をかぶっていた。かなり大型のイーゼルなので場所をとり今回の転居の際に持って行くかどうか迷っていた。改めて埃を払い眺めてみると捨てるには忍びないので新しい場所に持って行き活用することを決断。早速、ボルトや蝶番を外してイーゼルを分解した。後は運搬するばかりだ。最近身辺を整理していて思うことは「かつての宝」が持ち腐れていること。「宝」とは金銭的な価値ではなく自分だけの「貴重品」。他人から見れば意味がなくても、活用しなければモノにかわいそう。果たして新居でイーゼルが活躍できるか・・。

6月12日(木) <1ヶ月後に引っ越し・・・>
1ヶ月後に引っ越しをする事態となって今いる家の周辺を見る目が違ってくるのが面白い。今日の写真(下)に掲載した煉瓦に描いた壁画も後日家の解体と合わせて取り壊されると思うと名残惜しくなって写真を撮った。この壁画は居間の窓を閉めるとどこからも見ることはできない。家の外壁に接近した煉瓦壁に描いたもので、窓は普段は閉めているし誰の目にも留まらないので思う存分落書きをした。描いたのは10数年前か、正確には分からない。これまで消去もせずに残したのは誰の迷惑にもならないと思ったまで。・・更に、今年、例年になく激しい雨が降り続く梅雨の最中に、庭の紫陽花がいつもより色鮮やかにみえる。そうか、来年の梅雨時にはこの紫陽花もない・・。「紫陽花や 壁のくづれを しぶく雨」(子規)
 
2014-06-12 10数年前の壁画と庭の紫陽花

6月13日(金) <江戸時代の絵画・・・>
江戸時代の絵画は現代になって世界中で高く評価されている。日本国内で特別な価値は認められなかった浮世絵が陶器の包み紙として西洋に渡り、かの地で注目されたのと同じように外国人に見いだされた後に日本で見直された例は多い。いまでは葛飾北斎など正に世界の至宝だと思うし、伊藤若冲、長沢芦雪など当時の日本画壇の主流でなかったユニークな天才たちが大きく評価されているのはうれしい。日本絵画が江戸時代に世界には稀な個性を持った形で発展したのはやはり「鎖国」の影響が大きいのだろう。勿論、鎖国していても一部の西洋絵画の情報は入手して遠近法の一種(透視図法)などを駆使したりはしているが油絵を模倣することはなかった。自由でのびのびとした筆使いができたの”は、なまじ絶対的なお手本がなかったお陰でもある。明治に入り西洋の優れた油絵が前面に出るとあっという間にもの真似一辺倒の絵画が氾濫する。”追いつき追い越せ”は技術のスローガンならばともかく芸術ではユニークさを削ぐだけか。時に情報は多すぎない方が独自性が出るのは古来からの法則。オリジナリテイーは何もない空白に浸ることが必要のようだ。
6月14日(土) <東京都水道局のアンケート・・・>
東京都水道局のアンケートに回答をした。水道に対する満足度調査するものであったが日本の水道水の品質は世界でも希なほど高度であるにもかかわらず更に利用者の意見を聞こうとする姿勢がすばらしい。東京の水道水も一昔前と比べて消毒臭さがなくなり飲料水としても全く問題ない。外国では東南アジアなどに限らず欧米諸国でも先ず水道水を直接飲むには適さない。その点、東京の水道は安心して飲める世界一の水といってもよいと思うのだが、アンケートの回答で妻と意見が異なった。「匂いの少なさ」、「にごりの少なさ」、「安全性」、「水道水の出具合」の項目は共に満足で異論はないが、「味(おいしさ)」や飲み水、調理に使用する水としての水質に妻は”やや不満”という。我が家では飲料水には浄水器をつけているが浄水器を通した方がやはり味が良くなると妻は言う。特に昆布水にしたとき味の差が変わるという。私などは風呂も洗濯も同じ水道水であるのに。これに最高級の飲料用の水質を要求するのかと思うのだが、欲を言えば切りがないものだ。更に高品質になるのはいいとしても今でも世界一の水道水であることは承知しておきたい・・。

6月15日(日) <ワールドカップサッカー・・・>
ワールドカップサッカーを日曜日の朝からNHKテレビで生中継されると見ない訳にはいかない。ブラジルでの日本代表の初戦、コートジボワール戦を終わりまで見てしまった。生中継はどうもストレスがかかっていけない。攻め続けられてとても試合の画面を正視できないので別の仕事をしながらチラチラと見る。結果は前半の1-0のリードを逆転されて1-2で敗北。結果がでれば今度は言い訳を考える。どうみても球を保持した時間はコートジボワールの方が多かった<コートジボワールは私たちが習った頃は「象牙海岸」だった>。FIFA世界ランキングでは日本が46位であるのに対してコートジボワールは23位であるだけのことはある。そんなことを言えば日本がこれから対戦するコロンビアはランキング8位。ギリシャは12位だ。といっても、昨日かな、ランキング1位であるスペインが15位のオランダに1-5で惨敗したようにランキングではここ一番の勝敗は分からないところがサッカーの面白いところだろう。こうなれば後はギリシャ戦とコロンビア戦に勝つことだ・・。

6月16日(月) <「成るようになる」・・・>
「成るようになる」と考えるだけで世の中随分と過ごしやすくなる。大体、人は心配しだすと切りがない。「杞憂」は「天地が崩れ落ちることを心配する」故事だが、そこまで行かなくても、病気になったらどうしよう、お金がなくなるとどうしよう、子供の成績はどうなるだろう、意地悪をされたらどうしよう、お墓をどうしよう・・などから更に、ワールドカップで次回のギリシャ戦に負けたらどうしよう、この決戦に負けたらどうしようなど心配事の種は尽きない。実は今日の午前中、テニス試合の際に「成るようになる」と思っただけで身体の動きが良くなった。ただの遊びテニスでも”開き直り”は効果があるようだ。「人事を尽くして天命を待つ」なんて大袈裟な言葉があるが、「成るようになる」はまさに神の思し召しに従う感覚である。そういえば昔から「ケセラセラ」が好きだった。「成るようになる」=Que sera sera. Whatever Will Be, Will Be. 今の時代、懐かしのドリス・デイの「ケセラセラ」の歌をTou Tubeで聴くことが出来る(=ここ)。
6月17日(火) <趣味とは何か・・・>
趣味とは何か考えせせられるこの頃。「今日の作品」欄に掲載する陶芸にしろ絵画にしろ趣味の領域をでないであろうが、このところ全く新しい作品を掲載できない。長年住み慣れた今の地を離れて転居しなければならないので身辺を捨てるモノと持って行くモノに分別したり掃除をしたりしていると趣味を忘れるのだ。陶芸教室には1ヶ月前の陶芸展以来一度も顔を出していないし絵の一枚二枚描く時間がないとは言わない。気分として粘土を捏ねたり筆を動かすゆとりがないだけである。趣味とは専門でない楽しみとか余技というのであれば、生業(なりわい)となる専門がない身としてはもはや生き甲斐であってもおかしくない。その割にたかが引っ越し準備だけで手が出なくなる趣味なのか。趣味は所詮「役立つモノ」とは相反する。役に立たないものを身近に置く余裕が趣味を作るのだろう。それにしても改めて自分の周辺を見渡すと、金目のもの、ないと困るものはほとんどない<パソコンや電話もなくても生きられる>。いわば役に立たないモノばかりに囲まれている。その中でも捨てがたいときめきを感じるものは確かにある。引っ越しではたとえ役に立たなくても「心ときめく」ものを選んで持って行くつもりだが・・。
6月18日(水) <今日は知人の個展・・・>
今日は知人の個展を見に行った。以前の陶芸教室で指導をしていた男性スタッフが開催した展覧会。彼は陶芸家として独立した後にこれまで何度も個展を開いているのでその都度応援に駆けつけている。私の場合、女性でも同じように陶芸家の道を進んでいる人を何人も知っているし陶芸家と呼ばなくてもセミプロとして陶芸作品を制作販売している女性は周辺にも多い。けれども今日の個展を開いたような男性となるとまた女性と少し異なった感想を持ってしまう。陶芸作品で家族を養い生きている真摯な姿が目に浮かび少々眩しくなる。作品群には、はったりのない一途な信条が溢れており、すばらしいと思うけれども果たしてどれくらい売れているかは別の話。元首相の細川護煕さんが道楽で作った茶碗の十分の一の値でも売れない現実が見える。「売れるか」の視点でみると陶芸家は実に厳しい世界だろう。陶芸家だけでなく、画家でも、作家でも、広く芸の世界でもそれは同じか。本当の芸を持っている芸人がテレビで売れっ子の芸人の足下にも及ばぬ稼ぎであることは珍しくはない。好きな道一筋の人はそれが出来るだけで幸せと思わないと続かない。画家であったゴッホが生前売れた絵が一枚だけであったというエピソードを思い出す・・。

6月19日(木) <体調がいいのに越したことはない・・・>
体調がいいのに越したことはないが、そういう時こそ慎重に身体を動かさねばならないというのが私の経験則である。今日も朝自転車でテニスに向かうとき”無理しない、無理しない”と言い聞かせる。このところ幸いに体調がいいので調子に乗らず抑え気味にしなければ無理をしてしまう。これまでに自分の限度を知らずに無理をして何度後悔したことか。テニスエルボといって肘を痛めたり膝をダメにしたのはいずれも絶好調の時だ。身体の調子がいいだけでつけ上がる習性は別の面でも大いに反省材料となる。図に乗る、思い上がる、分をわきまえない、過信する・・日本語には色々な表現があるものだが、人は誰でも似たような特性があるようだ。「好事魔多し」もまた良いことがあっても図に乗るなとの警鐘であろう。「花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ」と満開の花の下で覚悟をしていると少々のことでは動揺しないで済む・・。

6月20日(金) <妻がスーパーで白いボタン(牡丹)・・・>
妻がスーパーで白いボタン(牡丹)の花を買ってきた。大きな花二輪で150円だったという(激安!)。牡丹園で豪華な牡丹の花を見ることはあるが家で飾ることは珍しいのでしばしふくよかな花に見とれてしまった。牡丹は別名で「富貴花」とか「百花王」など高貴な名前が多いようだ。小林一茶は牡丹の俳句を沢山詠んでいるが、この花を何か別格扱いしている。「福の神 やどらせ給ふ 牡丹哉」、「おのづから 頭の下たる ぼたん哉」(各一茶)。高浜虚子の句「白牡丹と いふといへども 紅ほのか」は実物を見て、なるほどと納得する(下の写真)。もう一つ、いかにも芥川龍之介らしい才気走った句を見つけた:「牡丹切れば 気あり一筋 空に入る」。
2014-06-20白牡丹

6月21日(土) <今日はようやく表紙に「紫陽花」・・・>
今日はようやく表紙に「紫陽花」の素描を掲載したが、この1ヶ月ほどの間、表紙の「今日の作品」を更新できなかった。今回掲載した素描も妻が行う小コンサートのプログラムの挿絵として必要に迫られて描いたもの。ほんの10分間の時間を割けば描ける絵が何故これまで描けなかったかは面白いほど自分でもよく分かる。丁度1ヶ月前に作陶展が開催されて以来、陶芸教室にも行っていないのも同じ理由。もちろん、7月に転居するために身辺整理をしている真っ最中であることが原因だ。これまで同じようなことを何度も書いているが、ものを捨てること・処分することと創作とは真っ向から対立する。蓄積をよしとしないと内容がどうであれ新たなものを創り出す心境にはなれない。改めて考えてみると今の場所には延べ58年間も住んだことになる。その間、一時他に住んだり家も変わったが、それにしても長い期間だ。この地を離れることに付いては割り切ってこれまでの幸運を感謝するのみ。これからは前向きに転居先の新天地での生活を考えている。今の処に積もり積もった垢をおとして”跡を濁さず”としたいけれど、こればかりは分からない・・。紫陽花の別名は七変化。色が変わって人を楽しませてくれる。There is nothing permanent except change.

これはプログラムの挿絵として描いたものです
6月22日(日) <インターネットでの物の購入・・・>
インターネットでの物の購入が当たり前となっているといっても、これまでは書籍だとか地方の産物など”小物”しか買ったことはなかった。このところ転居の準備に絡んで余りに古い家具類を一新したいとネット通販で検索をしていると何でも容易に詳細にそして幅広く比較検討できるのに驚く。例えばパソコン仕事に欠かせない机と椅子なども以前とは全く異なった商品が安く提供されている。今の製品ははじめからデスクにパソコンやキーボードを置くことを考えてあったり、椅子にしても長時間パソコンを操作する場合を想定して機能が充実している。一昔前にはとても購入できなかった品質のものが安価に手に入るのが通販の魅力だ。整理タンスの類も明らかに昔よりも選定の幅が広く、古くなって傷んだ重い家具をそのまま持って引っ越すか新しくするのか悩ましい所だ。今のところシンプルなデスクを注文したが椅子は保留している。欲しい椅子は決まっているので実際に座って確認してみたいのだが、ネット通販の欠点としてどこに行けば現物を見られるかが不明であるので躊躇しているのである。もちろんネット通販では既に購入した人たちの評判もチェックできるが、やはりどれほどのリスクを見込むのかはその人の判断。この際、覚悟をして椅子も買おうかどうしよう・・。
6月23日(月) <テニスでダブルスゲームをやると・・・>
テニスでダブルスゲームをやると”相性”というものを教えられる。同じような実力を持ったメンバーの組み合わせでゲームをやるとパートナーとなる人との相性が見事に勝敗に影響を及ぼす。それぞれのやるべきことが以心伝心で分かる場合は強い。自分がミスをした場合にパートナーから文句を言われるか励まされるかでその後のプレーが面白いほど変わる人がいる。これは調子にのせられると存分に力を発揮するタイプ。他人の言うことをいちいち気にしないマイペースタイプもあるが、一般に人はパートナーとの心情の機微で技能までが驚くほど変わる。ペアを組んだ人との相性で能力をフルに発揮できるか逆に萎縮してしまうかの相違が生じるのはテニスやスポーツに限らないだろう。身近なところでは夫婦のペアなんていうのも同じか。テニスにしても夫婦にしてもペアの相性としたが、この場合の「相性」は星占いの相性のように生まれで決まり動かせないものではなく、いくらでも変えられるところが特長だ。自分が相性よくなるように変われば結果も良くなる・・。

6月24日(火) <久しぶりに新宿でゆっくり・・・>
久しぶりに新宿でゆっくりと時間を過ごした。はじめに首都圏最大級の家具店と称する大塚家具のショールームを一階から六階まで順次見学。インターネットで調べたパソコン用の椅子に座ってみようとも思ったがお目当ての椅子はなく値段が一桁多い類似品に座ってみただけ。万事この調子で改めてネットで検索する家具の価格は安いと思う。そうかといって超高級な実物を目前にして欲しくてしようがないかというと全くその気配はない。身の丈相応の商品でなければ興味も欲求も湧いてこないのは面白いほどだった。予定通りに家具店は見学だけとして。その後「ビックロ」に行った。ビックロはビッグカメラとユニクロが同じ建物に入った新宿の新名所。こちらは”身の丈”の店であり品数も多いので飽きない。何より次々と新商品がでるので1〜2年前の商品知識では“古い”となる。今日の発見はLED電球でレフランプ型のものが発売されていること。以前から口金E26のレフランプをLEDの換えたかったが、そのようなLEDはなかった。それが既に商品化されている!!。こんなきめ細かい開発力持った日本の電化製品に本当に感動する。どこの国でもできることでは断じてないぞ・・。

6月25日(水) <庭にクチナシの花・・・>
庭にクチナシの花が咲いている。薄いピンク色の花を付けたアジサイと青色のアジサイとの間にクチナシの木があり、今いる私の部屋の窓から1mほどの距離にクチナシの白い花が見える。これまで余り気にしなかったけれども後1ヶ月足らずの内に転居のためこのクチナシともお別れと思うと俄然愛おしくなって写真を撮った(下)。「くちなしの 香の間近なる ピアノかな」(中村汀女)。丁度これを書いているところで今ピアノが聞こえている。昭和期に女流俳人として活躍した汀女の俳句は生活感がある素直な句で親しみやすい。汀女は「くちなし」でこんな句も詠んでいる:「山梔子(くちなし)の 香が深き息 うながしぬ」。汀女と同時代の俳人で高浜虚子の次女である星野立子が詠んだ句:「くちなしの 日に日に花の よごれつつ」。全く山梔子の白い花はあっと言う間に汚れが目立つ。最後に山頭火の句:「何だかなつかしうなるくちなしさいて」。
2014-06-25 山梔子の花

6月26日(木) <いまウィンブルトンテニスが開催・・・>
いまウィンブルトンテニスが開催されている真っ最中だ。今年のウィンブルトンは6月23日から7月6日までのスケジュールで、日本時間の明日早朝には男子シングルス2回戦で日本の錦織選手も出場する。けれども日本のテレビ、マスコミではほとんど報じられることはない。テニス仲間の見解ではテニスというスポーツをこれほどまでにマイナーにしてしまったのはWOWOWの責任とみる。世界中の主なテニスの試合の中継はWOWOWが独占しており、一般のテレビ局では最終結果をニュースとして報道する程度しか放映はない。有料放送であるWOWOWを見る人は限られるので普通のテレビしか見ない人は最高レベルのテニスの試合に触れることはできない。いまブラジルで開催されているサッカー・ワールドカップの生中継を無料のテレビで見られるのとは大違いだ。サッカーでは既に日本の一次リーグ敗退が決まってしまったが、これからも決勝トーナメントそして7月14日の決勝戦までの試合を誰もが楽しむことが出来る。サッカーに限らず、もし野球やゴルフの番組が有料放送でしか見られないとしたら、どれだけの人がスポーツファンになるか・・。スポンサーがつくから民放でもスポーツの放映ができる、テニスではスポンサーがつかないというならば受信料をとっているNHKテレビでテニス中継をしてくれればよさそうだが、そうもいかない。我が家でもWOWOWの契約をしていない。ウィンブルトンテニスは専らインターネットの情報だけであるのが少し残念・・。

6月27日(金) <「ものづくり」とは・・・>
「ものづくり」とは単純なことではなさそうだ。長い伝統文化や国の歴史を背景にして初めて質の高い”ものづくり”が可能になる。けれども一方で現代のものづくりは世界的な規模の生産システムが欠かせない。このところインターネットの通販で家具を購入することを検討していると、目を付けたものがほとんどベトナム製であったりインドネシア製である。もちろん基本設計は日本でやり製作を東南アジアと言うスタイル。今や生活雑貨には中国製が溢れている事を考えると家具を海外で製作するのは当然だろう。それにしても中国はもはやコストが高すぎるのか。ベトナム、インドネシアというところが妙に納得させられる。自転車の”ビアンキ”ブランドはイタリーの名門自転車メーカーとして有名で日本ではビアンキの自転車を持つことはステータスとも見られるが、実は日本に輸入されるビアンキ自転車は台湾など東南アジア製でイタリア本国では見ることのない車種であると聞いたことがある。ブランド品の製造をどこにするのかは大問題だろう。デザインや基本設計がしっかりしていても製作する現場の質が伴わなければやがて顧客が離れていくことも確か。海外に単純生産の部分を任せる製造のやり方を「ものづくり」と云えるのかどうか知らないが、ただモノの形を作ることではなく長期間使用した上での満足感が得られる製品とならなければ誇りある「ものづくり」とならない。そう、ものづくりとただの製造の違いは「誇り」の有無かも知れない。
6月28日(土) <このところ「テプラ」を愛用・・・>
このところ「テプラ」を愛用している。「テプラ」はラミネートタイプのラベルライターで「テープライター」を略したネーミング。漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、数字などを随意に9mm,12mm,18mmのテープ(接着できるようにラミネート加工されたもの)に印字できる。私は以前アルバムの背表紙などに数字やローマ字をきっちりと書くときに「デカ・ドライ」というシートをよく使った。文字の上から鉛筆などでこすって文字を貼り付けるやり方で、一文字ごとに位置を確認しながら擦る作業は非常に面倒なものだった。それが「テプラ」を使うと実に簡単。今は文字を印刷するだけであればコンピュータを使って簡単にできるが、何かに貼り付けるとなるとやはりラミネートに印字できると便利だ。テプラを製造するのはキングジムという文房具メーカーで、昔懐かしい「キングファイル」を販売していた会社であることを知った。このところの転居準備に絡んで至る所にラベルを貼る仕事がある。テプラが発明されてから25年も経っているようなので何を今更と言われそうだが、いまテプラ大活躍という次第。

6月29日(日) <家でのファイナル・コンサート・・・>
家でのファイナル・コンサートの日。何がファイナルか・・。来月中旬には転居するため長年住み慣れたこの地・この家でのコンサートは今日が「最後」だ。ピアノやバイオリンの音を聴きながら今日の耳の力はいつもより研ぎ澄まされたプラスαがあるように感じた。縁があって演奏をしてくれる人がいる、一期一会の音、そして縁があって来てくれるお客様・・。コンサートに限らず家に客人が訪れてくれるのは特別に有り難いことだと思うようになったのは比較的最近のことだ。人は時間と労力をかけて他の人の家を訪問する。誰も訪れることのない家を思うと人が来てくれるだけでもうれしい。不思議なことに住人以外の訪問者があればあるほど部屋の空気が活発になる。2500年も前に孔子があえて語ったとされる言葉:「朋(とも)有り遠方より来たる また楽しからずや」(論語)もまたそんな活気を楽しんだに違いない。ファイナル・コンサートが終わった後はいよいよ引っ越しの準備本番だ・・。
2014-06-29 コンサート日のひまわり

6月30日(月) <「雲雀(ひばり)」という苗字・・・>
「雲雀(ひばり)」という苗字の方にお会いした。初めて見る苗字だったので雲雀(ひばり)さんにご出身を聞くと秋田県の角館(かくのだて)だという。確かにインターネットで調べると「雲雀」の苗字は「秋田県仙北郡角館町に多数見られる」との解説があった。更に「大阪夏の陣で敗走した武将が青森まで落ち延びて、かくまわれた先に雲雀という名馬を献上したことで雲雀という姓を名乗ることを許された」と言う説が紹介されている。どうして秋田県の角館町だけに存続しているのかは分からないけれども、どのような苗字にも歴史がある。雲雀さんの話を伺ったので、こちらはそれほど珍しくもない苗字だが「ひらせ」の歴史をお話しした。これが田中さんと佐藤さんの会談であれば苗字は話題にもならない。それにしても「雲雀」という苗字はいいですね、といいながら筋違いなことに気がついた。雲雀はSKYLARK。すかいらーくグループは雲雀グループだ。すかいらーくの店はなくなってガストとかバーミヤン、ジョナサン、藍屋の名でグループは続いている。いっそのことレストラン「雲雀(ひばり)」はどうだろう・・。
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