これまでの「今日のコラム」(2017年5月分)


5月1日(月)   <NHKのニュースが最近おかしい・・・>
NHKのニュースが最近おかしい。恣意的なコメントや編集が多すぎるのだ。昨日、シンクロナイズドスイミングの団体と個人ペアの日本での優勝者が決まったが、その時のニュースは初めから”課題を残した優勝”と伝えて、テレビの映像でも不揃いであったりミスの箇所ばかりを流す。日本一になった人たちへの賞賛や畏敬の念が全く伝わって来ない。NHKが行なった憲法改正に関する世論調査でも改正が必要とする人は優先順位は低いことを先ず図表入りで伝える。必要が43%、必要ないが34%であった結果は一瞬で伝えたがほとんど記憶に残らない言い方。新聞の場合、ニュースの見出しでその会社の意図するところが露骨に表れるのは周知だが、テレビでも似たような傾向にあるということか。ニュースは事実だけを素直に伝えて欲しいが、所詮情報とはいろいろな形で操作されていると知るべきか・・。
2017-05-01 今日の草花(テニス場の前庭にて)


5月2日(火)   <今日は息子の月命日・・・>
今日は息子の月命日。五月晴れのもと墓のある九品仏浄真寺に行った。境内は新緑が眩しい。本堂と上品堂の間にいつもは見かけない木の橋が架かっている。このお寺で3年に一度行なわれる「お面かぶり」という行事が今年は5月5日に予定されており、そのための橋だった。「お面かぶり」は正式には「二十五菩薩来迎会」といい無形文化財にも指定されている。上品堂を浄土に見立てて、お面をかぶった二十五菩薩がこの世(娑婆)に見立てた本堂に架け橋を渡ってやってくる。最後にはまた橋を渡って彼岸へ戻るという行事。お面をかぶる菩薩には申し込んで費用を払えば誰でもなれる。これまでは「お面かぶり」は8月の中旬と決まっていたが猛暑の中での”お面”は厳しいので今年から5月にしたそうだ。今日、墓参りに行ったので5日に「お面かぶり」があることを知った。3年に一度の珍しい行事。この際、5日にはまた九品仏に行こうかと思案中・・。

2017-05-02 九品仏浄真寺(東京・世田谷区)にて <橋の向うが上品堂(浄土)>
5月3(水)   <最近トランポリンを使い始めて・・・>
最近トランポリンを使い始めている。一週間ほど前に突如”トランポリン”が閃いた。周囲では80歳前後になって元気であっても飛び上がるのが苦手な人が多い。自分もテニスで走り回るけれども飛び上がる運動はやっていない。”そうだ、トランポリンだ!”そこでインターネットの通販で直に家庭用のトランポリンを買ってしまった。何しろ信じられないほど安い(中国製だ)。直径が1m足らずであるので居間に置いてもそれほど邪魔にならず、半分に折って片付けることも簡単。使う時に何の準備もなくテレビを見ながらでも、少しの時間があれば”乗る”ことができる。室内のトレーニングマシーンは他に腹筋を鍛える器具だとかレッグマシーンなどがあり習慣として毎日使っているが、トランポリンは単純で他にはない感覚になる。どこかの筋肉を鍛えているのでなく、ただ飛び上がって遊んでいるだけで脳に刺激を受ける奇妙な感覚だ。今のところ身体への効果などは分からないが、上下に飛ぶだけで楽しい。これからは、テレビを見るならトランポリンをやろう!
5月4(木)   <ゴールデンウィークには家の掃除・・・>
ゴールデンウィークには家の掃除がはかどる。連休には先ずドライブもしないし列車旅行もしない。休日なのでテニスにも行けない(平日会員だ)。美術館巡りも混雑するので他の日を選ぶ。そして陶芸教室にも行かないので家で普段はやっていない部屋や花壇の掃除をする。家でやる事はまだいくらでもあるが、連休には何故か掃除がしたくなる。花壇の世話をしているときにビオラをじっくりと観察すると花の色の組合せが実に面白い。少し離れた色模様もいいが、中心部にクローズアップすると別の趣があるので両方の写真をまとめて撮った(下)。これからは花のクローズアップ写真をもっと撮影したい。穏やかな五月晴れの日・・。
2017-05-04
5月5(金)   <九品仏浄真寺で「お面かぶり」・・・>
九品仏浄真寺で「お面かぶり」(二十五菩薩来迎会・無形文化財)を見学した。三年に一度の行事でこれまでは8月のお盆の時期に行なわれてきたが今年から5月5日になったという。この日のために本堂(娑婆・現世)から上品堂(浄土)に橋が架けられて、お面をかぶった二十五菩薩が彼岸の浄土からこの世に渡って来る。本堂を一周した菩薩達はまた彼岸へと渡って戻って行く。笙(しょう)、ひちりきの音楽隊が先導して橋を渡るのでにぎやかである。九品仏浄真寺(東京‐世田谷区)は息子の墓のある寺であり、お面かぶりの始まる直前まで墓のドウダンツツジの剪定やら掃除をしていた。極楽浄土でのんびり過ごしていればあくせくとした娑婆に顔をみせに来ることもないのにと思いつつ「お面かぶり」をながめる・・。
 
2017-5-05 九品仏のお面かぶり

5月6(土)   <義姉夫妻と東京観光・・・>
義姉夫妻と東京観光の一日。朝、築地本願寺前に集合して午前中は「案内人と散策する築地市場」。場内市場、場外市場を巡りながら適時市場で買物もする。昼食で江戸前寿司を食べた後、歩いて浜離宮恩賜庭園まで。園内を散策した後、浜離宮桟橋で遊覧船に乗り隅田川遊覧。浅草・吾妻橋で船を降りて浅草寺・伝法院など観光。東京に長い間住んでいるので大雑把には一度は訪れたことのある場所ばかりだが、初めて見る景観も多く面白かった。それにしても、東京中どこに行っても今は外国人が多い。築地市場も、浜離宮も、浅草も外国人によって活性化されている・・。
 
2017-05-06 左=浜離宮にて  右=隅田川・浅草吾妻橋にて

左=浅草寺本殿   右=浅草文化センター(隈研吾設計)の8Fより見た浅草仲店通り
5月7(日)   <「しじみ」を漢字で書くと・・・>
「しじみ」を漢字で書くと「蜆」であることを初めて知った。インターネットのニュース面にあったしじみ健康食品のコマーシャルに引っかかった結果である。「しじみ」は二枚貝の中でも小型なので「縮み」が語源とか。二枚貝でも「アサリ」は「浅蜊」、「ハマグリ」は「蛤」。「蛤」だけは漢字を知っていた。ちなみに「ハマグリ」の語源は浜辺に生息する栗に似たものから「浜栗」とか。「アサリ」、「しじみ」というと私が子どもの頃には採りたての貝を「あっさり〜。しっじみ〜」と大声で売り歩いていた商人のことを思い出す。その声が「あっさり〜、死んじまえ〜」と聞こえるとは皆の共通ジョークであった。「蛤の舌に触れやる夜更けかな」(詠み人知らず)・・。
5月8(月)   <今日、東京は今年最高気温28℃・・・>
今日、東京は今年最高気温28℃を記録した。この炎天下、午前中テニスを存分にやり帰路につくときの心地よい疲労感がたまらない。毎度のことながら、身体の状態はもちろん、環境、時間、仲間、その他運動できる諸々の条件に感謝。・・少々早い猛暑到来でベランダの花壇に水やりを欠かさないように気を配る。この花壇(下に写真)は花壇の枠から下敷き、土の投入と全てを手作りをした。順次花を植えた後、今一番それぞれの花が咲いている時期なので特に愛着がある。考えてみると自分の長い人生でこれだけの花壇に花を咲かせたのは初めてだ。随分”遅咲き”であるが咲かないよりはいい・・。
2017-05-08
5月9(火)   <「歌は世につれ世は歌につれ」・・・>
「歌は世につれ世は歌につれ」ではないが、「野球チームもまた世につれ」その時々の時代を反映する。今はセリーグ・パリーグのチーム名を全て間違いなく言えるか自信がない。ソフトバンクホークス、楽天ゴールデンイーグルス、DeNAベイスターズなどの名前を見るだけで現在の好調な企業の職種が分かる。いま、阪神タイガース(阪神電車)と西武ライオンズ(西武鉄道)が残っているが、国鉄、阪急電車、近鉄などを含めて、かつては鉄道関連のチーム全盛の時代があった。プロ野球の創成期には鉄道会社がこぞってプロ野球のチームを作った訳だ。「ヤクルトスワローズ」の名前の「スワローズ」は当初は「国鉄スワローズ」であった。スワローズはswallowsで、もちろん速く飛ぶ「ツバメ」を表すが、国鉄の列車内で「座ろう〜」を兼ねた会心のネーミングだった。この名前を選定する時に「国鉄コンドルズ」だけは止めようと除外された逸話がある。「鉄道が混んどる」ようでは不味い。プロ野球のチーム名にもこんな駄洒落の遊びがあった。

5月10(水)   <ソフトバンクグループの純利益・・・>
ソフトバンクグループの純利益が1兆4000億円余(2017-3月期決算)であったことが報じられている。売上高は8兆9000億円余。孫正義社長は”1兆、2兆の利益は通過点”と語っている。1981年に孫さんが日本ソフトバンクを創業したのは、前年の1980年に米国カルフォルニア大学バークレー校を卒業して日本に帰国したばかりだった。孫さんのスタートは更にその前年1979年に自分で開発した電子翻訳機をシャープに売り込んで得た1億円の資金を元手にして米国にソフトウェア開発会社を設立したことに始まる。創業当初、「将来は豆腐屋のように、一丁(兆)、二(丁)兆と数えるようにしたい」と豪語したという逸話が残っているが、まさに”純利益!”が1兆を越える企業が現実のものとなった。極めて稀な成功例であろうが、この現代に日本ドリームが活きている。


5月11(木)   <今日のテニスは最低・・・>
今日のテニスは最低だった。 何年か前に一緒にプレーしたことのあるグループに入ったので、”いいところを見せてやろう”と意識過剰だったことは自分でも分かった。柄にもなく平常心を失うと全てが悪い方にいく。一試合で二回もサービスのダブルフォールトをするなんてあり得ない。このような時に仮に”評論家”が見ていたら好き勝手なことを論評するだろうと想像した。実行している当人としては全て分かって入るけれども身体が言うことを聞かないのだ。外部から見た人間が言うことぐらいは大抵分かっている。評論家の名前でなくても批評家、コメンテーター、ジャーナリストなどみなこの種の人間。スポーツの解説者の他に音楽評論家、美術評論家、教育評論家、文芸評論家、政治評論家と具体的な名前を挙げてみるとイメージがハッキリする。自分では出来なくても口先では何でも言える。本来、評論の存在意義は実行者のいいところを発掘して実行者を勇気づけることだろう。褒められればやる気が出るのは子どもに限らず大人も同じだが、褒められようと意識すると”最低”になるから怖い・・。
5月12(金)   <義兄の墓参り・・・>
義兄の墓参りをした。月命日は11日。その前後でも出来る限り毎月谷中のお寺まで行きお墓参りをする。義兄にはそれだけ世話になったし、以前にも書いたが谷中に行くこと自体が私たち夫婦にとっては非日常の楽しい行事となっている。今日は朝方に妻と揃って南青山にあるクリニックで白内障手術後の検査を受けた後、日暮里の谷中地区まで廻った。墓参りの後、谷中銀座のトルコ・イラン・ウズベキスタン料理の店で遅い昼食をとった。このレストランは店内の装飾、料理など何ともユニークで毎晩20時からはベリーダンスショウもあるという(ネットでの紹介例=ここ、or =ここ)。食べきれないほどの中東ランチをいただいて1000円余。このような店があるところが谷中の魅力でもある。
 
2017-05-12 墓のある瑞輪寺  右はトルコ・イラン料理の店内
5月13(土)   <人事を尽くして天命を待つ・・・>
「人事を尽くして天命を待つ」<Do your best and leave the rest to Providence.>。これは、私の高校受験の頃、父から聞いた励ましの言葉で60年以上経過したいまも唯一記憶に残っている。私の父も母も子どものやり方に一切干渉しない親だった。兄弟が多かったこともあり、勉強しなさいとか何をやりなさい、あれは駄目など言われたことがない。最近、周囲の色々な親子関係を見ることがあるが、父親、母親と子どもの関係は非常にデリケートで単純な方式では語れないように思える。親が過度に指示したり干渉すると親子関係が決定的に崩れるケースが何と多いことか。一流のスポーツ選手をスパルタで育て上げた親をみると、厳しさ以上に猛烈な愛情を注ぎ子どもを安心させている。一方で芸能人の親が子どもを甘やかせ過ぎて問題を起こす例は枚挙にいとまがない。いずれにしても親が言い過ぎると子どものマイナスになり、ひいては親子の断絶にもなりかねない。昔の人はよく分かっていた;「親はなくとも子は育つ」<Even if there is not a parent, the child is brought up.>
5月14(日)   <ニューヨークに住む娘家族から花籠・・・>
ニューヨークに住む娘家族から花籠が届いた。今日、5月の第二日曜日は母の日。世界の多くの国に「母の日」があるのはよく分かる。母の日があるのなら「父の日」もという運動があるがそれほど普及しない。父親はともかく、母親は真に偉大だ。自分のお腹の中で子を育て産むという行為は女性だけにできる特権でもある。男性はどんなに頑張っても子どもを産めない。男性が外に出て家族を養うために獲物をとるという基本は大昔からそれほど変わらない。いまは女性でも外で働き続けるのが当たり前になっているが、仕事のために子どもをつくらない人は可哀想に思えてしまう。どんな仕事であっても母親業ほどやりがいがあり、親としての人間を成長させてくれる仕事はないだろう。”不幸にして”母親になれなかった人をどうとも言えない。母の日の贈り物を受け取れる母親はそれだけでも幸せだ。「母の日といふもの妻にあるにはあり( 安住敦)」
5月15(月)   <命は天に在り・・・>
「命は天に在り」と中国の史記に記されているという。漢字の成り立ちを解説した本を見ていると「命」の文字は「口」と「令」からできており、「令」は冠に跪く(ひざまずく)人の象形。人を跪かせて口で発する神(あるいは王)の意志を伝えるのが「命」であるという。古文では命令の「命」と「令」は同字同義とか。天の命令、天命が運命となり寿命、生命となったとみると「いのち」が納得できる。「命あっての物種(ものだね)」というが、最近「命」だけは本人のコントロール圏外と思うことが多くなった。いくら努力しても無情にも命がなくなる例には事欠かない。天命であるから命に予測はできない。やはり、みんな「生かされている」間に何をやるのかだろう・・。
5月16(火)   <夕刻、ウォーキング・・・>
夕刻、ウォーキングに出かけたが、いつもと調子が違う。脚が重くて歩きに余裕がない。いつもであれば周囲の新しい建築とか花や植木に眼がいくのだが今日は何の道を通りどこで休むかばかりを考えている。1時間余であれば一度も座らずに廻ることが多いコースで二度も休息をとった。ベンチに仰向けになって上を見上げると樹木の枝葉が新鮮に見えたので写真を撮った(下)。それでも調子は回復しない。損にも得にもならないことに興味を持ち、歩きながら別世界に浸るのは”歩く”ことが全く気にならない体調がベースにあったことに気がついた。昨日のテニスをやり過ぎたのか、明日のテニスはどうなるか。無理をせずに先ず脚力を整えよう・・。
  
2017-05-16 駒沢公園の樹木    右は我家の花壇の花アップ
5月17(水)   <歩きながら、一方の脚が地面に着いている時・・・>
歩きながら、一方の脚が地面に着いている時にはもう一方の脚は休んでいることに気がついた。交互に60kgの体重を片足で支えてるが半分の時間は負荷がかからずに休息している。”休息、休息”と休んでいる脚ばかりを気にしていると歩きが非常に軽く感じられた。昨日散歩の時に余りに脚が重かったので今日も警戒して観察した結果である。今日のテニスはそのためか順調で問題なかった。テニスにしてもプレーをしている時間の大部分は休んでいる。球を打つために筋力を使うのはほんの一瞬。走り回ることはあるがムダには動かない。人間の身体は内蔵も含めて働き尽くめのようにも思えるが実は全てが極めて軽い負荷(休み)と負荷の繰り返しである。人生の三分の一は睡眠で本格的に休息し、眼を覚ましている時にも身体は休み休み活動している。結局、人間は休みがあるから次の一歩を踏み出せる。新たなエネルギーを発揮するために無意識で休んでいる・・。
5月18(木)   <「92面体・再完成品」・・・>
「92面体・再完成品」(陶芸作品)を表紙に掲載した。前回、3月17日に「完成体」の写真を掲載しているので二ヶ月振りの”再完成”。3月17日のコラム(=ここ)にも書いているが完成したところで”妥協の産物”で不本意なところが多かった。その後、他人に見せるのであれば、どうしても許せない思いが強くなり、かなり労力をかけて再組立を試みた。一度出来上がったものをバラして調整し直す作業はゼロから組立てるよりはるかに忍耐を要する。時間も最初の組立の10倍ほどの時間がかかったように思える。ところが苦労の末の「再完成品」も写真で見る限りは前回とほとんど差がない。陶芸で”労力”とか”苦労”の言葉をこれまでは一度も使ったことがない。ただ楽しくやりたいことをやってきた。それが今回の”ザマ”を見ると決して褒められたものではないと反省する。やり直すならもっと楽しく大胆にしろ・・。
<明日は箱根に小旅行の予定にてコラム休みます>

5月20(土)   <箱根に一泊の旅行・・・>
箱根に一泊の旅行からいま帰宅した。妻の姉夫婦とのドライブ旅行で、この場合運転は一番若い妻と決まっている。昨日はポーラ美術館と湿生花園、今日はつつじと富士山が一緒に見られる名所として知られる山のホテル、それに強羅公園にも行った。箱根の観光地としては珍しくない場所ばかりであるが、季節によってそれぞれに異なった味わいがあるところが箱根のいいところだ。今回は花の写真を多く撮ったけれども、今日のところは訪れた場所の代表的なショットを掲載する。
 
2017-05-19  左=ポーラ美術館入口  右=湿生花園
 
2017-05-20  左=山のホテル  右=強羅公園
5月21(日)   <草間彌生「我が永遠の魂」展・・・>
草間彌生「我が永遠の魂」展(@国立新美術館にて、5/22まで)を見てきた。以前から行く予定をしていたけれども昨日たまたま明日5/22が最終日であることを知り、大決心をして今日の日曜日に出かけた。猛烈に混雑することが予想されたので開場の一時間前の9時頃に国立新美術館に着いたが既に多くの人が行列をつくっている。並んだ隣の人が昨年夏には上野での展覧会で9時から並んで入場できたのは5時間経過した午後の2時だったなどと話すのを聞きながら、ただひたすらに待つ。それでも開館時間が少し早められたこともあり10時過ぎには入場できた。何より会場に入ったとたんに並ばされたことを忘れるほどの別世界でインパクトがあったのがうれしい。草間彌生は1929年(昭和4年)生まれ。88歳の今も世界で活躍する前衛芸術家である。今回のメイン展示である絵画の連作「我が永遠の魂」(約2m×2m)は2009年(80歳だ!)の時に描き始めて今年2月までに500点を描いた中から132点が展示されているという。そのエネルギーに触れるだけでも元気になる。草間彌生の言葉:「私は毎日朝から晩まで芸術の創作に命がけで戦っています・・」。
 
2017-05-21 草間彌生展
5月22(月)   <渋谷区役所がなくなって・・・>
渋谷区役所がなくなっていた。以前渋谷区に住んでいた関係で本籍が渋谷区なので戸籍謄本をとりに昔よく通った区役所(NHKに隣接する場所)に行ったところ”工事中”で建物がない。仮区役所の場所が示してしてあったので、そこまで歩いて行った。用事を問題なく済ませた後、区役所のお姉さんに聞くともう二年以上前に仮区役所に移転したという。考えてみると渋谷区から今のところに転居したのが2014年7月。その後、渋谷区役所へは行く機会がなかった。区役所だけでなく今渋谷の駅周辺は大規模な再開発中だ。東京の魅力は絶えず続く変革の中にあると思っているので変わることには大賛成。そういえば東京駅近辺も数年前と随分変わったようだ。都内新築サイト巡りをやりたくなってきた・・。
5月23(火)   <智美術館で開催・・・>
智美術館で開催されている「篠田桃紅・昔日の彼方に展」を見た(5/28まで、案内=ここ)。篠田桃紅は1913年(大正2年)生まれの104歳。現役で活躍する最高齢のアーティストとして知られる。我家には篠田桃紅のリトグラフが一枚あり家族揃って彼女の大ファンでもある。今回の展覧会での作品を見ていると、これは100歳で描いた、これは103歳、今年に描いたものまである! 大きな筆を持って勢いよく描くには足腰もしっかりしていなければできない。一昨日には草間彌生のエネルギーに圧倒されたが一回り以上年齢を重ねた篠田桃紅のパワーも尋常ではない。篠田桃紅は2015年に「103歳になってわかったこと」という本を出版しているが、そのサブタイトルが「人生は一人でも面白い」とある。”生きている限り、人間は未完成”として”いつでも面白がる”のが創造力の源泉なのだろうか・・。
2017-05-23
5月24(水)   <表紙に「花器」(陶芸作品)を掲載・・・>
表紙に「花器」(陶芸作品)を掲載したが、陶芸の教室での制作は正に仮死状態。今回掲載したものを最後に作陶は進まない。教室での作品発表の機会も一切なく教室仲間はどうすれば陶芸を続けられるか皆で思案中だ。それにつけても教室の運営は”人”に左右される。今日は午前中のテニスの後、友人のグループ絵画展を見に行った。この絵画グループは20年以上前から続いており、ほぼ毎年、絵画展を見せてもらっているのだが、一人のプロの画家を中心にして非常にまとまりが良い。今日もたまたまそのリーダーが全員の絵画を見ながらコメントする機会に遭遇した。プロの画家にしては珍しいと思うほど、その人は決して自分のスタイルを押し付けないし威張らない。メンバーの絵画を丁寧に見ていいところを指摘しながら言葉を選んでメンバーのためになることをコメントする。画歴30年のメンバーが素直に納得しやる気を出す言い方をするリーダーにはいつも感心させられる。今日は”描き過ぎないで抑える”ことがいかに難しいかを話していた。どこに余白を残すか、空白の大切さは絵画だけの話ではない。

5月25(木)   <朝方降っていた雨が・・・>
朝方降っていた雨が昼前にはあがったので、午後、九品仏浄真寺(世田谷区)まで歩いて行った。長袖の作業衣や鋏などを持参して、お墓のドウダンツツジの剪定に取り組む。1時間余り気合いを入れてやるにはやったが、剪定がうまくいったかどうかは分からない。こちらは素人。切り方が拙いと言われても今はもう後の祭り。それでも誰の迷惑にもならない。巧く剪定できて結果が良くても多分他の誰も気がつかないだろう。墓掃除と同じで誰に見せる訳でもない。他人の目を一切気にしない、見えない作業とは何と気持ちがいいことだろう・・。
2017-05-25 本堂脇にも躑躅@九品仏
5月26(金)   <明治座の五月花形歌舞伎・・・>
明治座の五月花形歌舞伎をみて今帰ったところ。夜の部だったので演目は「南総里見八犬伝」。主役は片岡愛之助。明治座の歌舞伎の切符は毎回義兄からいただく。今回の座席は花道の隣で役者さんがドタドタと独特のステップを踏んで直ぐ脇を通過して行った。「里見八犬伝」はストーリーを追うというより、歌舞伎用の見せ場をつないだ感じ。”見得を切る”場面が多すぎるほどであったが、これも歌舞伎であるからできる。片岡愛之助さんは昼の部の「月形半平太」や「三人連獅子」にも出演している。かなりの重労働と思われるがさすがに”見せる”。歌舞伎が安心して楽しめるのは愛之助のようなスターがいるからだろう・・。
5月27(土)   <通販サイトの世話・・・>
通販サイトの世話になることが多くなった。最近はトイレットペパーまでネットショップを使う。買物に行く手間や交通費がかからないだけでなく、時には店に行って購入するより早く、しかも輸送費がかからないケースもある。昨日、パソコンから重要な写真を印刷しようとすると色調が巧く出ない。インクを交換したりして、あれこれやっているうちにテスト印刷までおかしくなった。思い切ってプリンタを新しいものに交換することにしてネットで注文すると今日の午前中に届けられた。しかもプリンタ本体の価格はカラーとブラックのインク代(純正品)の二セット分ほどと安い。インク代が高いという見方もあるが、1万円もしない価格で高機能のプリンタを買えることが驚きだ。いまやインターネットや車のGPS機能は必需品である。ほんの50年前の人類の生活と比べて今の時代は何と進化したことか。有難くその恩恵を享受したい。それにしても道具ばかりが進化して人間は一向に変わらない・・。
5月28(日)   <柳は緑 花は紅・・・>
「柳は緑 花は紅」という言葉がある。ごく当たり前の自然の姿に美しさを感じ、同時にそれぞれの個性を重んじる視点が見て取れる。禅語ではこの言葉の後に「真面目(しんめんもく)」と続く。柳や花の価値に優劣はなく、自然のありのままの姿こそが真実である。・・人の生き様に該当させるとき、いわゆる自然体がよいとする考えには同感だ。虚飾は除きたい。けれども一方、”人は見かけで判断される”ことを多く経験する。馬子にも衣装とはよく言った。最盛期の花と萎れた花は共に真実であっても花を見る人の目が変わる。人は外観も含めた個性が全て真実か。やはり他人との比較をしても何も始まらない。自分の世界を持っておきたい・・。

5月29(月)   <来客があると部屋が・・・>
来客があると部屋が片付く。特別に格好をつける意識はなくても掃除や整頓をする機会になることは確かだ。妻の知人が初めて我家を訪問するというので、妻がいつになく細かな掃除を始めた。誰も気がつかないような箇所をきれいにする一方で、私は大雑把に見える場所だけを整頓する。どちらにしても結果として部屋がきれいになれば良い。オリンピックのような国際行事も”オモテナシ”のために街が整備されるのがいいところだろう。最近はいつでも外国からの観光客が多いが、実際に外国から訪れてくれることだけでも有難いことだ。観光のため、競技のため、会議のため、仕事のためなど何にしてもやるべき目的がないと人は移動しない。そして外国から来るお客さんは見せられる場所以外に直ぐにその街の匂いを嗅ぎ文化を感じ取ってしまう。片付けはいいとして、家に来るお客さんに対しても自然体で臨むしかないだろう。


5月30(火)   <久しぶりに「相田みつお美術館」・・・>
久しぶりに「相田みつお美術館」に行った。この美術館は東京駅と有楽町駅の間にある「東京国際フォーラム」(千代田区丸の内)の地下1階にある。今日もウィークデイの昼間でありながら大勢の人が訪れており、相田みつおの人気を現している。相田みつお(1924~1991)は書家・詩人と紹介されるが一般的には、”これが書?”というような一見下手な独特の書体で知られる。けれども10代の頃から書道展に入選を続ける本格的・古典的な書の実力があった。悩みに悩んだ末に30歳の頃に現在の独特な書体で平易な言葉を書く作風を造り上げたという。思想の基は曹洞宗の開祖・道元の「正法眼蔵」。仏教には生涯を通して傾倒したようだ。前回、この美術館を訪れた時には相田みつおのイメージに戸惑ったが今日はじっくりと作品を鑑賞でき、想像以上に気分が落着いた。本当にいい時間が過ごせた。相田みつをと真反対の境遇で育ち最高学府の学歴のある詩人や学者が相田みつをを否定的にコメントすることがあるようだが、”大衆”は真実をとらえる。エリートは「一生燃焼、一生感激、一生不悟」(みつお)の言葉を語れない。
 
2017-05-30 左=東京国際フォーラム地下(奥に美術館)  右=六本木ヒルズの花
5月31(水)   <パスポートの有効期限が・・・>
パスポートの有効期限が切れているので、新たにパスポートを申請するために都庁へ行った。申請用の写真を撮ったり、受付に申請書を提出してチェックを受けたりする間、対応するほとんどの職員が女性であることに気がついた。やることはテキパキと素早く、しかもソフトな応対をする。なるほどお役所の窓口業務は女性の方が向いているかも知れない。最近は土木工事の監督でも女性が担当するケースがあるという。本当の力仕事がほとんどなくなった現在、適材適所で男性でなければならない職業はほとんどないのではないか。”能力”だけを挙げれば女性は何でもできてしまう。職業ではないが男性がいくら頑張っても絶対にできないのが子どもを産むこと。女性は出産の大仕事もしながら何でもできる。しかも平均寿命で見れば女性の方が男性より7歳も人生が長い。女性の活躍社会を拍手するところが、せめてもの男性の度量・・。




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