「今日のコラム」(2020年 1月分)

1月1日(水) <新年明けましておめでとうございます・・・>
新年明けましておめでとうございます。今年の年賀状のために描いた絵を表紙に掲載したが、これは子年にちなんで、米国のホーグランド&ドッドソンの著書を中村桂子・友子親子が訳した本(三田出版会:「Oh! 生き物」・昨年8月にも掲載))からの引用。地球上の生命体の歴史からみると、ネズミが6万年を経てゾウと同じ大きさになることも一瞬であるとあるとの発想を知ると、コセコセした悩みや争いが消えてしまう。新年には心を大きくして深呼吸・・。
この元日は先ず息子の墓(かつ、両親の墓)のある九品仏浄真寺に墓参り。続けて車で義兄夫婦と小平霊園へ妻達の両親の墓参りをした。墓参りをする度に今ある命の不思議さ、先祖からの引き継がれた生命の因縁を感じる。

2020-01-01 九品仏浄真寺(東京‐世田谷区) 仁王門には門松


1月2日(木) <今日もいつもとかわらず朝の5時30分に起床・・・>
今日もいつもとかわらず朝の5時30分に起床。コーヒー一杯飲んだ後、ストレッチポール(直径15cm,長さ90cmのウレタン製の棒)を使ったトレーニング(動画例=ここ)や他の自主トレ、テレビ体操などでウォ−ミングアップをする。妻が起床したところで朝食は御節に雑煮とここは正月気分。食後テレビなどを見て休んだ後、今日は明治神宮に初詣に行った。そこで一年前には元旦の早朝に明治神宮へ行ったことを思い出した。更にその後お寺巡りを続けた。そういえば、昨年の正月三が日に神社、お寺を10箇所ほど巡った。それは妻が旅行に行って不在で私は独り身の正月であったためだった。今日は妻と初詣の後、外食をして早めに家に帰る。家では特別なことは何もしないで、のんびりとした時間を過ごした。これもまた良き正月・・。
 
2020-01-02  明治神宮にて
1月3日(金) <気持のいい快晴・・・>
気持のいい快晴が続くお正月。家の中に閉じこもってばかりではいけないと、午後、ワンパターンではあるが近所の神社やお寺巡りをした。玉川神社、(東京・世田谷区)〜満願寺〜等々力不動尊、そして等々力渓谷と等々力近辺を歩いて廻る。午前中にテレビで箱根駅伝の走りをみていたせいか、歩き始めたとたんに歩くペースが普段より格段に早くなった。神社やお寺では初詣をしてお願い事をする訳ではなく、ただ感謝の気持を伝えて本年もよろしくと挨拶をするだけ。等々力=トドロキ=の語源は等々力渓谷に流れ落ちる不動の滝の轟く音からきたとされるようであるが、今はそれほどのトドロキはなく、静かな水辺の遊歩道が連なっている。今日のランダムな歩きの軌跡を写真で下に掲載する。
 
2020-01-03 玉川神社       右は満願寺
 
等々力不動尊         右は等々力渓谷
1月4日(土) <正月のテレビをみていると・・・>
正月のテレビをみているとテレビ番組を作っている人たちはよく平気でいられると感心する。番組の内容がどれも似たり寄ったり、モノマネが多く、要するに面白くない。当事者が危機感を持っていればもう少し”工夫”が見えてもいいはずだが、相変わらず芸のない芸人頼り・・。民放の場合は内容以前に視聴率が問題でスポンサーさまの顔色だけを伺っているのが見え見えだ。これではますますテレビ離れが加速しそうだが、視聴者が更に”見ない自由”を発揮しなければならないか・・。・・なんて、他のことを評論するのは容易だが、今日の私の行動もワンパターンだった。昨日は我家の東方面にある神社・お寺を巡ったが、今日は家から西に歩いてまたもや神社・お寺巡りをした。訪れたのは、八雲氷川神社〜金蔵院〜東光寺(曹洞宗)〜常国寺(日蓮宗)。これらは東京・目黒区の一角にまとまって(数分圏内)ある。ちなみに、通った坂の名を列挙すると、太鼓坂〜〜しどめ坂〜氷川坂〜柿の木坂。神社・お寺巡りはワンパターンでも個人の体験としては悪くはない。それぞれの場所でそれぞれのパワーをいただき気分も新たになる・・。
 
2020-01-04 八雲氷川神社          右は 金蔵院
 
 東光寺                      右は常国寺
1月5日(日) <この正月にまたアルバム整理・・・>
この正月にまたアルバム整理を始めた。毎年、時間の余裕があるこの時期に前年のアルバムを整理する。もちろん、できるだけ撮影した時点で整理するがやり残した分はこの正月のタイミングを逃すと二度とアルバムはできなくなる。私の場合、アルバム整理というのはデジタルでパソコンの中に溜まった写真データーをPhotoshopのソフトを使い、A4サイズの印画紙に貼付け、ついでに年月や場所などの文字も入れ込む。印刷されたA4サイズの写真をとじたファイルがアルバムになる。パソコンの中にある写真データーを後に家族や親戚で見ることは先ずない。その点、手元に印刷されたアルバムがあれば時に懐かしく見直すことがある。最近は私の周囲ではアルバムを作っても誰も見ないからと写真アルバムを止めた人が多い。確かに子供の成長期ならばアルバムを家族で見て楽しむが、子供と同居しなくなると自分たち以外にアルバムを見る人がいないと言えなくはない。アルバムは人の歴史であって、その人に興味がなければ何も面白くない。一方で、今は撮影した写真データをネット上に掲載して不特定多数の関心を引く手法がヒットしている。”インスタ映え”を競う写真は過去を懐かしむ発想を捨てて”今を楽しむ”。私も50歳若ければこちらにハマったかも知れない・・。
1月6日(月) <今日は今年初めてのテニス・・・>
今日は今年初めてのテニス。ここで転倒して骨折などすると話にならないので調子に乗り過ぎないことを自分に言い聞かせた。問題なく、そして楽しく終了できたことを感謝である。相手のあるゲームはやはり仲間が有難いとつくづく思う。・・テニスの帰途、この正月3日に移転が完了した地下鉄銀座線の渋谷駅の新ホームを通ってみた。以前は東急東横線の渋谷駅(地下5階)で銀座線(地上3階)に乗り換えるのは余りに不便であるので渋谷駅で半蔵門線(地下3階)に乗り換えて表参道駅で銀座線にまた乗り換えるルートを通っていたので銀座線の新ホームが使えるか確認したかった。ところが、乗り換えに関してはやはり銀座線の新渋谷駅ホーム(地上2階)でも使えないことが分かった。確かにホームは広くなったが地下鉄路線への接続は遠すぎる。時にはニューデザインの駅舎をみるために銀座線の渋谷駅で降りてみるのはいいかも知れないが・・。
<明日のコラム休みます。病院で一泊の検査入院をする。これまで病院には無縁であったので僅か一泊であっても準備からして新体験だ>
2020-01-06銀座線渋谷駅の新ホーム
1月8日(水) <病院での一泊検査入院を終えて・・・>
病院での一泊検査入院を終えて昼前に家に戻った。僅か一日であったが、これまで入院したことがない私にとっては全てが初めての体験だった。最先端の医療技術にしても、局部麻酔をして肛門から10~20箇所に針を刺し糸くずのような組織を採取するという作業をあっという間に終えてしまう。長い時間の経過を感じたのは、作業が終わった後の麻酔が覚めるまでの時間とその後の安静状態で横になっている時間だけだった。印象に残ったのは看護婦さん達のテキパキとした働き方だ。一方で、これまで以上に感激したのが帰宅後直ぐに準備してあったカボチャスープそして煎れたコヒーの美味かったこと。初体験は人生の新しい一面を気付かせてくれる。
1月9日(木) <表紙の「今日の作品」・・・>
表紙の「今日の作品」として「NAHOへの絵手紙・陶芸流川香炉の絵」(ペンと水彩)を掲載した。自分の陶芸作品を絵手紙に描いたのは初めてかも知れない。頂上に円錐型のお香を設置して火をつけると煙が下方に流れて川のような煙の流れを楽しむことができる特殊なお香が珍しくて陶芸で塔型の香炉を制作したもの。今回絵に描いてみて陶芸作品はやはり写真に限るかとも思った。唯一の形を工夫して制作した陶芸作品は絵に描くと何を意図しているのか表現できない。昨年まではニューヨークに住む孫娘Mieu宛てに絵手紙を描いた。昨秋から孫娘はボストンの大学に通い始めたのでニューヨークにいる娘のNAHO宛に絵手紙を描くことにして、絵の題材に迷った末に陶芸作品を描いてしまったのである。振り返れば1994年に当時パリで学んでいたNAHO宛てに絵手紙を描き始めたのが、このホームページの根幹でもあった(NAHO宛て絵手紙=ここ)。今見直すと、例えば1995年の元旦に描いたおせち料理=ここ。年月が経った今でも娘には同じような素直な題材をもっと描いて送ろうと今回の「今日の絵」を契機に思いを新たにした・・。

1月10日(金) <老化は一定のペースで継続的に進行するのでない・・・>
「老化は一定のペースで継続的に進行するのでない」というNewsweekの記事を見た。血中のタンパク質の測定によってヒトの健康状態を診断できることから、米国スタンフォード大学の研究チームが多くの血液サンプルを用いて血漿タンパク質を分析した結果、老化は平均34歳、60歳、78歳の3つのポイントで急激に起こると発表したそうだ。これによると老化は一定のペースで進行するのでなく、一定期間は同じレベルを保ち特定のポイントで突然変動するという。その急激に変動するのが平均すると34歳の青年期、60歳の壮年期、78歳の老年期という3つのポイントだと言う訳だ。たまたま老齢期の年齢が自分と一致したので記事が目についたが、一般の感覚からしても納得できる結果に思える。少々の年齢のズレはあるにしても誰もがどこかのポイントで突然に体力の衰えや老化を感じるが、ある期間はそのままの状態が続くことを体験しているだろう。それにしても老化の程度、身体の細胞の状態には個々人で大きな差があり単純に年齢だけでは決められない。78歳を超す次の変動年齢は見つからなかったのだろうか・・。
1月11日(土) <今日は午前中今年初めての陶芸・・・>
今日は午前中今年初めての陶芸。陶芸教室で年賀の挨拶をした後、土練りから始めて比較的小物の花器を一つ造り上げた。3時間を他のことを一切考えずに制作に没頭できる機会である陶芸はやはり得難いと感謝である。今日の表紙には「NAHOへの絵手紙・菓子」(ペンと水彩)を掲載した。今年二枚目の”NAHOへの絵手紙”だ。今はニューヨークに住む娘NAHOさんはその娘(私の孫娘)が間もなく成人になろうかという年齢で、そんなNAHOさんへ、どのような絵手紙を描くか迷っていたが、一昨日のコラムにも書いように何も特別に意識せずに描きたいものをそのまま素直に描くことに割り切って今回の絵を描いた。身の回りで見つけた「菓子」を袋ごと描き、後で中身を出して中央に並べて描いてみた。描き終わったので、アボガドチーズもアーモンドリーフも共に今は私のお腹の中だ・・。

1月12日(日) <認知症の第一人者が認知症になった・・・>
「認知症の第一人者が認知症になった」というNHKのテレビドキュメンタリー番組を見た(昨夜pm9:00~)。これは認知症医療の第一人者とされる長谷川和夫さん(1929年生まれ、90歳)が2018年に自ら認知症になったと告白し、その後NHKのカメラ取材にも応じて記録されたドキュメンタリー。認知症のテストとか知能検査と改まって言われなくても、最近私たちが何かと出会う質問=「年齢を問う」、「年月、日曜日を問う」、「場所を問う」、「数字の逆唱」、「簡単な計算」、「知っている野菜の名を問う」などの検査項目は「長谷川式認知症スケール」と呼ばれて、長谷川氏が考案したそうだ。認知症になったといいながら実に的確に自分や他の人を観察しているかと思えば、時間の経過とともに、何をしたいのか、何のために生きているのか、自分がこの世にいない方がいいのかとか、いろいろと悩む。自分で推奨していた共同生活をする施設に体験入所もしてみるが自分の書斎の方がいいと直ぐに帰宅する。人の精神、脳の仕組みを知り尽くしているようでも、分かっていることはほんの一部。自らが体験して初めて納得したことをコツコツと記録すると新たなやりがいと成果がでるのでないかと遠慮がちに思う・・。
1月13日(月) <今日は成人の日で休日・・・>
今日は成人の日で休日。自分が成人になった時には何もお祝いはなく通過しただけだが特に残念という思いはない。現在は成人年齢は20歳だが、年齢を20歳から18歳に引き下げる法律の改正が2018年に成立して2022年4月1日から施行されるので2023年の成人式はさぞ面倒なことになるのだろう。・・今日の夕刻、駒沢公園に散歩に出かけると、休日で快晴であったので多くの親子連れが遊んでいた。いつも目につくのが父親や母親が子供とキャッチボールをしたりバトミントンをしたり、また凧揚げをしたり、家族で実に楽しそうに過している姿。微笑ましくもあり、ここでも私の子供の頃とは違った家族の絆を見る。私の子供の頃は遊び相手は専ら兄弟と近所の友達だった。今は兄弟は少ないのかも知れないが友達遊びがなくて大丈夫かと余計な心配をする。昔は兄弟、友達と喧嘩をしながら免疫を付けたところで成人となったけれど・・。勿論、いつの時代も子供が成人となる過程は千差万別。それぞれに鍛えられて強い成人が生まれているとみたい・・。
 
2020-01-13 駒沢公園(東京・世田谷区)にて
1月14日(火) <一万年にわたって悪評を残す・・・>
「一万年にわたって悪評を残す」と中国の王毅外相が台湾の独立勢力に対してコメントしたと報道されている。台湾の総統選で独立志向の与党・蔡英文総統が再選されたことに対する見解であるが、これを聞いて直ぐに「白髪三千丈」を思い出した。白髪三千丈は中国・唐代の詩人・李白が”愁いのために白髪が非常に長く伸びたこと”を三千丈(約9キロメートル)と表現したのだが、昔から中国の誇張表現は珍しくない。”一日千里を走る名馬”もある。それでも、現代において政治家が大衆にアピールする言い方で「一万年」の誇張が堂々と通用する、あるいは、通用すると思っている感覚が驚異である。今の中国は建国70年の若々しい国であるようだが体質は”4000年の歴史”から引き継がれているのだろうか。中国の若い世代が「一万年」の表現をどうとらえるのか知りたいところだ・・。
1月15日(水) <朝の7時頃まで霧雨・・・>
朝の7時頃まで霧雨が降っていたが予報では午後には晴れるという。テニスに行くか否か微妙な判断であったが止めた。結果的には昼頃まで雨模様であったので正解だった。テニスが出来なくても、このところやる気十分で退屈はしない。夕刻には気分転換のためお寺まで歩いて行きお墓参りをしてきた。今の住居やお寺(お墓)は奇跡的とも言える偶然が重なり、片道20分ほど歩けば行くことが出来る位置関係にある。ラッキーとか幸せとか誰に叫んでよいのか分からないが、息子や両親のいる墓の前ではただ無条件に感謝である。今日はこの墓から少し離れたところにある母方の祖父母の墓にも行った。この祖父にも高校生、大学生の頃に非常に大きく影響を受けた。人は多くの先人のお陰さまで今過していると思うことが増えた。どんなことでも、他人様を元気づけることがあれば、その蓄積と相互作用で社会が活性化する。墓参りをしても何の役にも立っていないが自分がどこからか元気づけられるのは確かである・・。
 
2020-01-15 九品仏浄真寺にて
1月16日(木) <今日は「核医学検査」と「造影CT検査」・・・>
今日は「核医学検査」と「造影CT検査」を受診した。核医学検査の名も知らなかったが、これはガンマ線を含む微量の薬品を静脈から注射して放射線の信号によってガンマカメラで体内の様子を把握し画像化(シンチグラム)する手法。全身の骨の状態・病気の有無を検出するのに有効だとか。造影CT検査はヨード造影剤を注入して身体をCT=Computed Tomography(コンピュータ断層撮影)する検査。両者を合わせることによってより正確な体の状態がつかめるという。では、今日は検査ばかりの憂鬱な一日であったかというとそうではない。核医学検査で薬を投与(注射)してから検査まで約4時間も時間をおかなくてはならないのでその間フリーとなる。今日は、その間に渋谷まで行き、これも初体験で「渋谷スカイ」に行ってきた。最近出来たばかりの新名所である渋谷スクランブルスクエアの展望台「渋谷スカイ」は地上約230mの日本最大級の屋上展望空間。入場料2000円もとられるが、地上46階そして屋上の展望はやはり別世界の風景を見せる。自分がこのような巨大な都会に一匹の蟻のように過していることが不思議にさえ思える。色々な初体験により視野が広がる・・。
  
2020-01-16 渋谷スカイ屋上からの風景
 
屋上(ヘリコプター着陸スペース)             46階のラウンジ
1月17日(金) <今日のテニスは・・・>
今日のテニスは毎回必ず一緒にプレーをする仲間が”体がすぐれないので、しばらくテニス休みます”とのメールをよこして欠席。彼は私と同年齢。今日は他のメンバーと楽しくプレーをすることが出来たが、他人事でなく自分も何時同じ事態になるか知れない。・・別のことを書こう。私が最近日本に住んでいて本当によかったと思う一つに、トイレの性能の良さがある。ウォッシュレットは勿論日本の発明。感心するのはそんなトイレの機能が絶え間なく進化することだ。20年前の水洗、10年前のウォッシュレットと今は違う。洗浄装置の自動洗浄、人を察知して自動開閉なども当たり前。昨日行った渋谷の超高層ビル・渋谷スカイの46階でもトイレを使ったところ、昨年末に完成したピルの設備だけあってトイレが最新型で気持よく、しかもデザインも美しかった。時々都心の高級ホテルでトイレを使うことがあるが建物・設備が30~40年を経過していると、昔はこの程度が最新鋭だったのかと感無量になる。先進国でもトイレに関しては半世紀前と変わらないのでないか。古き良きものは保存するが変えるべきものは遠慮せずに変える、こんな文化が好きだ・・。
1月18日(土) <今日は東京でもみぞれ・・・>
今日は東京でもみぞれが降る寒い一日となった。午前中は陶芸教室で単純な茶碗に従来やったことのない組合わせの釉薬掛けを試みた。そこで「数寄者」について書いてみたい。日本の中世・戦国の世でも茶の湯が権力者の趣味としても広まると、茶の湯など風流を好む人のことを「数寄者」と呼ぶようになった。明治時代以後でも、政財界で活躍した人の多くが茶の湯を趣味として自らが茶道具の名品を蒐集する数寄者であったことが知られる。益田孝(1848~1938、大蔵省を辞して三井物産会社を創立。三井財閥の発展に尽力)、根津嘉一郎(1860~1940、東武鉄道の社長など20余の鉄道経営に参画、武蔵高校創立、集めた美術品は根津美術館)、小林一三(1873~1957、阪急電鉄・宝塚歌劇・東宝映画を創立)など著名な数寄者は美術品を集めて茶道の発展に寄与したが、一方で蒐集ではなく茶碗制作を好んだ人物に川喜田半泥子(1878~1963)がいる。私は前に半泥子は陶芸家だと思っていたが、銀行の頭取を務めた実業家で自ら本格的に作陶を始めたのは50歳を過ぎてからという。財力があるので多くの陶芸家を支援したり交流を持ちながら自由奔放な作風を確立し、「東の魯山人」、「西の半泥子」と言われるまでに独自の境地を示した。川喜田半泥子の制作した茶碗を見ていると、お金のためとか評価を得るためでなく、自分が”好きなように創る”数寄者の強さが分かる・・。
1月19日(日) <今朝は5時30分に起床・・・>
今朝は5時30分に起床し、いつものようにコーヒーを一般飲み終えたところで突如陶芸のアイデイアが閃いた。特に就寝中に考えていた訳ではない。丁度6時頃に6時25分からのNHKテレビ体操の前にウォ−ミンググアップの自主トレをしようとした瞬間にスーと考えが浮かんできたのだ。このところ陶芸で何を創るかアイデイアがなく、低迷していたことは確かなので直ぐにノートにそのアイデイアを書き付けて行くと次から次に応用編がでてくる。最近にない調子の良い進み方にうれしくなった。なぜだろう・・。そういえば、今日は私の誕生日。70代最後の年を迎えたところだ。お祝いと思って気分が高揚する。・・妻とも相談して、夕方、誕生日の祝いに外で食事をすることにした。これも久々の外食。これからの一年はいままでになく身体の養生が問題になりそうだ。ケ セラ セラ。気持だけは負けてはならない・・。
1月20日(月) <「霧箱」を懐かしく思い出した・・・>
「霧箱」を懐かしく思い出した。先週、病院で「核医学検査」を受けた際にガンマ線の薬品を使って体内を検査する手法ときき、62~3年前、高校生の時に部活(物理部)で「霧箱」を仲間と一緒に制作したことを思い出したのである。「霧箱」は放射線や荷電粒子を目で見えるように工夫された100年前に発明された装置。原理は箱の中を人工的に過飽和の状態とすることによって外部から侵入する放射線や荷電粒子の軌跡を目で見るというもの。詳細は忘れてしまったが、自作の霧箱によって宇宙から飛来して地球上に降り注いでいるアルファ線、ベーター線、ガンマ線などを数センチの飛跡で見ることができて感激した。鮮明に覚えているのは当時の夜光塗料を塗った目覚まし時計を霧箱に近づけると、沢山の飛跡が見られたことだ(当時は蛍光塗料にラジウムなど放射線物質が使われていたが今は使用されない)。その後の人生は霧箱を作って放射線を観察したこととは全く関係のない道であった。けれども、目には見えないけれども、地球上のあらゆるところに放射線が飛交っており、あらゆる生物はその中で生存しているという事実は当時強烈にインプットされて忘れられない。
1月21日(火) <今日から「内分泌療法」・・・>
今日から「内分泌療法」という癌治療をスタートすることに決まり、即実行中だ。今朝、妻と一緒に先日来のがん検査の結果を聞きに病院に行ったところ、前立腺癌が見つかったという説明。これは予想通りで、そこで手術療法か放射線治療法かなどをセカンドオピニオンも参考に検討するつもりであったが、決断も何もない、直にホルモンをコントロールする薬による薬物療法が即日実施となった次第。癌以外の病気で亡くなった人を調べると80歳を越えた人の30~40%が前立腺癌を持っているといわれように、一般的には前立腺癌は寿命と関係がない”おとなしい”癌で、癌が見つかったといって大騒ぎすることはない。けれども個々の状況は千差万別で先行きは何とも言えない。内分泌療法(薬物療法)の場合、テニスなどの運動、食事、風呂など生活全般は従来通りのことができる一方で治療の期間は長丁場になる。後は運命に任せる以外ない。昨日のWii(任天堂)によるバランス年齢計測結果は24歳だった。従来以上に思う存分身体を動かして、楽しく遊ぶことを考えよう・・。
1月22日(水) <最近はペンや鉛筆で”文字を書く”機会が・・・>
最近はペンや鉛筆で”文字を書く”機会が少なくなった。パソコンやケイタイのキーボードでは文字を”選ぶ”。私は”ほぼ日手帳”に毎日ボールペンで書く習慣にはしているが、漢字は見事に忘れて書けないと自覚する。そこで近頃は何でも漢字で書いてみることを心掛ける。例えば、電車や地下鉄に乗れば駅名を書く。鴬谷の鶯、三鷹の鷹、麹町の麹など大きくペンで書いてみると記憶に残る。ところが、漢字で市町村名を書こうとすると正式名称が「ひらがな」であるので愕然とする。さいたま市は何故「埼玉」の漢字を使わないのか、先日樹木葬で訪れた千葉県いすみ市も「夷隅」でない。関東地区だけでも、いわき市(磐城)、つくば市(筑波)、ひたちなか市(常陸那珂)、あきる野市(秋留野)など例を挙げれば切りがない。誰の判断か知らないけれども漢字が難しいからひらがなを使用するのであれば歴史ある文化が廃れる。そういえば、「癌」の漢字も書けなかった。ほとんどの文章は「がん」となっているが、今回は「癌」の漢字をしっかりと覚えた・・。
1月23日(木) <表紙に薔薇(ばら)の葉を描いた・・・>
表紙に薔薇(ばら)の葉を描いた「NAHOさんへの絵手紙」を掲載した。今日は朝から冷たい雨の一日。ベランダで濡れていた薔薇の葉を数枚とってきて、葉の片面に絵具を塗りハガキ用紙に押し付けたが、葉の模様が綺麗にはでない。そこで葉を短時間で(アイロンを使い)押し葉としてハガキに貼付けを加えて完成させた。・・娘のNAHOは今ニューヨークに住んでいる。娘の娘(孫娘)はボストンの寮に入り大学に通っている。妻とも話をするのだが、もし娘家族が東京や神奈川など日本で生活していれば「絵手紙」を出すかどうか分からない。今はメールでもラインでも国内・国外関係なしに極めて簡単に通信ができる。絵手紙はいわば余裕の交流。受取手がいるから楽しく描くこともできる。宛先と合わせて表紙の文章は妻が書くが、いつも話をしているのに改めてどんなことを書いているのか、当方は知らない。孫娘のMieuには長年絵手紙を続けたが、昨年、Mieuが大学に進学したのを契機に止めて、Nahoさん宛ての絵手紙に切り替えた。それでも時にはやはり孫娘宛にも絵手紙を描きたくなる・・。

1月24日(金) <今、千葉県の鴨川・・・>
今、千葉県の鴨川に来ている。義姉夫婦と一緒の一泊・ドライブ旅行。東京からアクアラインで先ず木更津のアウトレットに行った。御殿場のアウトレットには何度か訪れたことがあるが、木更津は初めて。大した買物をする訳ではないが御殿場以上に巨大なショッピングセンターを見学するだけで一つの新体験となった。その後、鴨川に近い、日蓮宗大本山清澄寺を訪れた。この寺は平安時代には房総第一の天台宗の大寺であったが、紆余曲折の末に大正〜昭和にかけて日蓮宗に転宗帰属したという。お寺にもまた不可思議な歴史があるものだ。今日はこれから温泉にでも入り明日のことを考える・・。
  
2020-01-24  清澄寺山門     右は清澄寺境内の千年杉
1月25日(土) <千葉・鴨川に一泊・・・>
千葉・鴨川に一泊した後、南房総を一周して先ほど夜7時頃、東京に帰り着いた。義兄夫婦と私たち夫婦の4人のドライブ旅行だが、義兄夫婦は二人とも80歳を過ぎているので運転は一番若い妻が専ら担当した。私が代わってもよいが妻は運転が好きで、他人の運転よりも自分で運転したいタイプなので任せてしまう。冬のドライブ旅行は天候で善し悪しが左右される。今回は気温は比較的高く、雨も降らずにラッキーだった。明日からは寒くなり雪も降りそうだとか。毎度のことだが、天候に感謝、そしてドライブの無事を感謝、また美しい風景を感謝・・。
 
2020-01-25今朝の鴨川の海    右は館山ファミリーパークにて
1月26日(日) <昆虫記で有名なファーブル・・・>
昆虫記で有名なファーブルは日本では子供でも知っているが、生まれ故郷のフランスではほとんど名が知られていないという。ジャン・アンリ・ファーブル(1823~1915)はフランスの博物学者として紹介されるが、昆虫の研究のみならず、教師、作家、詩人、また作曲も手がけるなど実に多彩な人物であったようだ。今日、陶芸に関連して本棚からだして繙(ひもと)いたのが、ファーブルの「きのこ・221点の水彩画と解説/同朋舎出版」という本だ。この本は1993年初版の定価7万円もする豪華本で今は絶版。2009年に亡くなった息子は「キノコ」マニアで多くのキノコ本を集めており、自分の設立した会社にキノコ関連の名をつけるほどであった。この本はいわば息子の形見として大切に保管しているものだ。今回は陶芸でキノコ関連の作品を制作するヒントを得ようと本を見始めたが、ファーブルの巧みな水彩画に魅せられてしばし時を忘れた。見るだけで楽しくなり、また最大限に活用することができる豪華本を息子から引き受けたのも有難い・・。
1月27日(月) <ハンデイーマッサージャー「リラミンゴ」・・・>
ハンデイーマッサージャー「リラミンゴ」を使い始めた。フラミンゴの頭部の形をした家庭用の電気マッサージ器(単三乾電池四個使用)で形も性能も今のところ気に入っている(メーカーサイト=ここ)。肩や腰、背中、その他どんな場所でもフラミンゴのくちばしに相当する部分を身体に当てると自動的に振動が始まりマッサージできる。このところ右脚のむくみが気になっていたので集中的に右脚をマッサージしたり、旅行先も含めてこの三日間、テレビを見たり部屋でくつろぐ時など少しでも時間がある時にこれを使ってみた。そのためだけとは断定はできないが、今日の午前中のテニスでは足が軽く、いつも以上に身体の動きがよかった。以前にコラムで何度か書いたことがあるが、人間の身体は毎日200グラム相当の細胞(数として3000~4000億個)が死滅するとされる。死んだ細胞はほとんどはまた再生されて入れ替わるが、日々の細胞の入れ替わりが生命の営み。ちょっとした血流やリンパの流れ具合で身体は変化するだろう。マッサージに限らず、何でも試しにやってみる。そして結果が良ければ続けよう・・。
1月28日(火) <今日は終日冷たい雨・・・>
今日は終日冷たい雨が降り続いた。一日中、家の外に出ずに今日は何をやったか。結果的には陶芸で昔制作した「バベルの塔」の復元にほとんどの時間を費やした。「バベルの塔」は旧約聖書の「創世記」中に登場する巨大な塔で、実現不可能な天に届く塔を建設しようとして、崩れてしまったといわれる。現代、よく目にするのが16世紀のオランダの画家、ブリューゲルが描いた「バベルの塔」の絵画。2009年に私が陶芸で制作した作品もブリューゲルの絵をヒントにした。ただし、塔の内部には小さなモーターなど色々と装置を装着して、鉄の球を塔の最上部まで持ち上げて、後は重力で塔の周囲をぐるぐると回りながら球が転げ落ちて行くようにした。球は最下部から螺旋型のリフトによってまた上へ持ち上げられる。経路はその都度成りゆきで変わりながらこれを繰り返す。また、塔の内部には照明までも付けていた。このような大作を制作した2009年は息子が病気で亡くなった年で、息子が病床にいた2月頃から制作を始め、4月に息子が亡くなった後、8月に焼物が完成、その後装置を付け加えて、全てが完成したのが9月であった。このような経緯のある作品が埃をかぶっているのはもったいないと、今日一日、整備を行い共同玄関の飾り棚に展示させてもらった。自分で言うのもはばかれるが、よく見ると実に気合いが込められておりいい作品だ。息子の供養のためにも、これからこの「バベルの塔」を活用したい・・。<制作当時の完成写真=ここ
1月29日(水) <今日は昨日来の大雨が朝のうちに止み・・・>
今日は昨日来の大雨が朝のうちに止み、その後一転して晴れ間がでた。暖かい陽射しを受けて、昨日と比べて最高気温は10℃近く上昇して18℃となる春の陽気となった。このところニュースは専ら中国武漢市で発生した新型コロナウイルス(新型肺炎)の感染をいかにして防止するかの話題。武漢市は封鎖され、何億人もの人々が中国全土を移動する旧正月の「春節」の時期に中国も必死に世界への拡大防止を計っている。例年は多くの中国人観光客が日本に訪れる今の時期、ほとんどがキャンセルされているとか。中国に滞在している日本人は特別のチャーター機で日本に帰国して検査を受けている報道もある。今日、所用で久しぶりに銀座に行ったところ、確かにいつもは多くの中国人が目立つのに、今日はそれほどいない。厳重にマスクをした中国人らしき人にも出会うが普段の何分の一かなのだろう。それにしても現代のように医学が進化した時代でもこれまでの免疫や薬で対処できない”新型”のウィルスが次次と発生する自然界は何と奥深いことだろう・・。
 
2020-01-29 銀座風景
1月30日(木) <表紙に陶芸作品として「茶碗」二個の写真・・・>
表紙に陶芸作品として「茶碗」二個の写真を掲載した。実はこの写真を掲載するべきか否かでかなり迷った。陶芸教室で完成した茶碗を見た瞬間、釉薬が思った風ではなく失敗作だと思った。いずれ再度釉薬掛けをやり直して再生させようと思いつつ、家に持ち帰った。ところが、家で釉薬の模様を四方八方からじっくりと眺めると、これはこれで面白いとも思える。同じものは二度とできない。成り行きでできた文様は見方によっては味がある。何にしてもモノの評価は人の感じ方で変わる。きっちりと整い過ぎているとか、上手にでき過ぎていると贅沢を言って歪んだものを好む場合もある。完璧な美しさより”ゆらぎの美”に魅かれるのは日本人の特性かと思うとそうではなく外人も同じだ。・・とにかくも、この二個の茶碗に釉薬を追加してなり直すか迷ったあげくに、初志貫徹で思い切って手を加えることにした。今は新たな釉薬を上乗せして我家の電気窯で再焼成中だ。従って、写真を撮ったもの以外に、この茶碗の文様はもう見ることはできない・・。

1月31日(金) <今日は一月の最終日、晦日・・・>
今日は一月の最終日、晦日(みそか)。「月ごもり」から「つごもり」ともいう。今朝、テニスに行く途中で電車を待っている時に、明日から二月かと思いながら、旧暦では二月を何と言ったか考えると直に出てこない。これは不味いと和風月名を思い出そうと焦った。弥生(やよい)三月、五月晴れの皐月(さつき)五月、どういう訳か長月(ながづき)九月に続いて、神無月(かんなづき)十月、霜月(しもつき)十一月、師走(しわす)十二月はすぐにでてきたが、睦月(むつき)一月、如月(きさらぎ)二月、卯月(うづき)四月、水無月(みなづき)六月、文月(ふみづき)七月、葉月(はづき)八月を思い出すのに電車一駅分の時間がかかった。記憶とは奇妙なもので、どうしても思い出せない語句が少し時間をおくと突然に頭に浮かぶ。こんなことでもして、頭を使っていなければいけないと思うようになったのだ。そういえば、最近はテニスのゲームカウントも自分ではっきりと記憶するように努めている。そうしなければ、同じような年代の仲間で四人が揃ってカウントが分からなくなることもある。記憶はほんの少し意識するだけで鍛錬できるのだろう・・。



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